ゲーム開発を数々経験をしてきた中で、12~30名程度でやる多くの研修ゲームの類型が見えてきました。今回はそれを簡単に紹介します。
全部で3つのパターンがあるように思います。
1.リアルタイムゲーム
- 全参加者が同時進行でアクションを行う。(行うのはアクション)
- その時間の中で創出した成果を競う。
- ゲームの活動それ自体に焦点。時にチームが作られるが、個人戦が多い。
例)貿易ゲーム、リアル脱出ゲーム、フレキシビリティ
2.同時進行ゲーム
- 全参加者が定められた時間の中で相手の状況が分からない状態で意思決定を行う。(行うのは意思決定)
- その意思決定の繰り返しによって、最終的な成果が決まる。
- ゲームの活動それ自体よりも、意思決定プロセスに焦点。
- 基本的にはチームでの活動になり、チーム内の不参加者の扱いが常に問題になる。
例)大体の研修ゲームはこれ
3.協力ゲーム
- 全参加者が「ゲームシステム」を相手に協力しながら作戦を練る。
- 勝利条件はゲームシステムへの勝利だが、個人間の差がつかないため、個人ごとに勝利条件を設定することもある。(この場合、ダブルバインドな状況を作ることができますが、厳密には、個人間の競争があるので、「準」協力ゲームというほうが適切かもしれません。)
例)アルティメットチョイス・トナリノココロ(当社)
最近は、「自立」をテーマとする企業が多く、個人戦になりやすい 1)のリアルタイムゲームか、3)の協力ゲームが注目されつつあるように思います。
2)の同時進行ゲームは、かつては主流でしたが、最近は下火のように思います。チーム内の不参加者の扱い(例:ルールが分からなくてついていけない)がいつも問題になるからです。
これからビジネスゲームを作るのであれば、チームの勝利が目的だけど、チーム内で個々人が意思決定を行い、その総体が会社の意思決定というようなゲームがトレンドとは合致していると思います。(といいながら、最近同時進行ゲーム「シンセサイザー」を作ってしまいましたが。)
特に、協力ゲームは、最近でてきたタイプのゲームで、対立構造が作られないことと、一つの目標を全員で目指すことから、個が自立したあとのチームビルディングに効果があるという点で、今後メインストリームになるんじゃないかなと思います。研修会社のゲーム好きな役員さんにきくと、「今後は協力ゲームが来る」と口をそろえていいますね。
そういう点で、2009年に協力ゲームを3つ(といっても原型は同じですが)作ったのは、非常に価値ある時間投資だったなと思います。
追記1)ここでは、「教室型」を扱いましたが、以前、「参加者減少、でも研修を行なう時代に」で書いたように 教室型ではなく、「テーブル型」で行なうというニーズもでてきています。このニーズに対しては、ここで書いた3つの類型は全く当てはまりません。交互進行型などの別なゲームの成立する余地がでてきます。
追記2)ちなみに先日、アナログゲーミング研究会という会で、協力ゲームについて学習する研究会を実施しましたが、そこから新しいゲームが1つ生まれたとのことです。
公開日: 2011年6月24日