ゲーム研修運営の超基礎(前)~研修前の準備~ | ビジネスゲーム研修で人材育成を内製化 | カレイドソリューションズ



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ゲーム研修運営の超基礎(前)~研修前の準備~

はじめまして。カレイドソリューションズでインターンをしている山田です。
これから2回にわたって、ゲーム研修運営の基礎を紹介していきたいと思います。
紹介する内容は、当社代表高橋が体験会でお話しした1時間の講演がベースになっています。

まず、ゲーム研修の運営を「研修前の準備」と、「研修当日」の2フェーズに分けました。前半では「研修前の準備」について、後半では「研修当日」について紹介します。

研修準備

まず研修前の準備段階では、以下の4つのことをする必要があります。

  • 対象者の分析
  • 目的と目標の設定
  • カリキュラムを作る
  • 告知

対象者の分析

対象者の分析を行うことで、相手のニーズに合わせた話ができるようになります。まず、もし自分が研修の聞き手だったら、自分に関係のない話ばかりをされ続けたら退屈するでしょう。そうならないためにも、相手は、どんなことを研修に期待しているのか、普段の業務内容は何か、を聞くことです。聞けない場合は洞察することが求められます。

一つ例を挙げると、当社には「忖度」に関する研修があります。これは社内のコミュニケーションを事例として取り上げています。

仮に、研修の参加者が営業職だとしましょう。事例は社内のコミュニケーションなので、営業の仕事そのものではありません。なので、そのまま話しても相手のニーズは満たせません。多くの場合、営業職の関心は、社内のコミュニケーションよりも営業の成果を挙げることだからです。営業職が対象であれば、「商談時に相手が発する言葉の真意をとらえられるようになるよね」と伝える方が効果的です。もしくは、新入社員が対象であれば「忖度できれば、社内での動きがよくなるよね」と変えることができます。

しかし、相手のことを意識せず、誰が相手であっても同じように行うのであれば、成果は期待できません。当社のような外部者から提供されたツールを用いて、研修を内製化する際には、こうした「対象者分析」は必須のスキルです。しかし、守破離という考え方がありますが、つい何かを提供されると「マニュアル通りにやろう」となってしまいがちです。ツールはあくまでもツール。どのように料理するかは、みなさんの社員の将来を担う人材開発の担当者の仕事です。

参加者のことを深く考えて話す内容を練り込むといった不断の努力が社内研修のファシリテーターとして成功するためには必要です。

目的と目標の設定

研修のノウハウには、インストラクショナルデザインやパフォーマンスコンサルティングといった手法が有名ですが、やや玄人向けですし、手間がかかります。当社では、両者の目標設定のノウハウを簡略化し、「目的」と「目標」という考え方を採用しています。

目的と目標を切り分けて考える必要があります。以下では、目的と目標の違いを説明していきます。

まず「目的」は、「会社が」研修を通して最終的に達成したいこと、及び「個人が」研修を通じて最終的に達成したいことです。この「目的」は研修中に達成することはできません。

一方、「目標」は、研修が終わった時点で到達すべきゴールです。学習を目的とした研修の場合は、学習目標ということもあります。研修の効果測定という話がよくでてきますが、研修の成果は学習目標が達成できたかによって決まります。学習目標が達成できれば目的が実現できるとは限りませんので、研修は解決策ではなく「介入」に過ぎません。なので、介入施策の効果は学習目標で図るしかないのです。

ここで重要なのは、目標を達成すれば最終的に目的につながることです。簡単に言いましたが、これは「ロジック」が重要です。研修の学習目標を達成したら、その他の手段、例えばOJTや制度、職場環境等との相乗効果で目的につながるというロジックがつながらない限り、研修を行うべきではありません。

目的は常に見失われ、目標が目的化することは日々あることです。なので、研修では、目的と目標を切り分けて、目的は提示することが重要ですし、社内の企画段階でも、目的と目標を意識した企画を立てていく必要があります。例えば、「論理的になる」という目的があったら、1日間の研修の目標をどこに設定したら成功といえるのかするか、そうしたことを考えてみると良いかもしれません。

カリキュラム作成

もう少し細かく見ていきましょう。

目標を達成するための手段も予め決めておく必要があります。研修は魔法の杖ではないので、なにか一言を発すれば目標が達成できるというものではありません。目標達成のために、各セッションでどのようなことを達成していくかというカリキュラム上の地道な積み上げが必要です。目的に対する手段が目標ですが、目標に対する手段は各セッションの目標です。(アウトカムとアウトプットという説明がわかりやすい場合はそちらで理解しても構いません。)

ここについてはご存知の方も多いと思いますので、割愛し、カリキュラムを作る際のTIPSとして3点をお伝えします。

  • 時間を確保する
  • バッファを持たせる
  • パワーポイントではなくエクセルでつくる

まず、「時間を確保する」についてです。体験型とは、講義では伝わりにくいことを体験的に理解してもらうことです。このためには時間が必要です。言葉では1秒で言えるが伝わらないことをわざわざ手間ひまかけて伝えるのが体験するということだからです。百聞は一見にしかずなので、百聞でも人は理解できません。このため、少なくとも一見のための時間は確保する必要があるのです。昨今は、時間に対するコスト感覚が厳しいため、「研修時間は伸ばさずに、内容を体験型に」といった要望もありますが、そもそもこの考え方は何のために体験型を採用するのかという前提を履き違えています。講義を減らして体験を増やすのであれば、そのために投資する時間を確保する必要があるのです。情報量の多い研修であれば、1日を2日に、半日を1日にするといった検討が必要です。講義と置き換えることは不可能であり、置き換えるのであれば学習目標を変更したり、学習内容を減らす必要があることを意識しておかなければなりません。

次に、研修時間に「バッファをもたせる」ことです。ゲームはテーブルごとに時間がばらついたり、参加者の動き次第で時間が流動的になることがあります。このため、ゲームの部分の枠には多少バッファをもたせておく方が余裕を持って研修を設計できます。1番遅そうな人やグループに時間を合わせるのがよいでしょう。なお、体験型研修を30名を超えたりする大人数で行うことがおすすめできない理由はここです。グループ数が増えるほど、遅い人と早い人の間のずれが拡がり、バッファを多くとらなければなりません。これによって「冗長」な研修になってしまうのです。私たちが研修設計を行うときも、「4グループ」と「6グループ」ではカリキュラムを変えます。ベンダー側にカリキュラムの設計を依頼せずに、内製でカリキュラムを設計するのであれば、こうした点も考慮にいれましょう。

最後に、「カリキュラムはパワーポイントでは作らない」ことも重要です。テクニカルな話ですが、各社の資料を拝見すると、パワーポイントだけで資料作成をしているように見えます。その場合、予想外のスケジュールになったときに変更をかけるのが手作業となってしまい、大変になります。例えば、「人事部長が5分冒頭に話すことになった」というときに、パワーポイントで作っていると手作業で数字の入れ替えを行うので、ヒューマンエラーが起きやすくなります。そこで、当社ではエクセルでカリキュラムを作ることをお勧めしています。エクセルは、1箇所時間を変更すると全部に自動で反映されます。
これを形式を選択して貼り付けの機能でパワーポイントに貼り付けると、きれいにパワーポイントが作成できます。(※こちらについては、後日研修内製化のためのエクセル講座として講座を開催させていただきました。)

余談ですが、時間になったら必ずその時間で中断することと、終わった人たちが手持ち無沙汰にならないように何をしてもらうかをあらかじめ考えておき、伝える必要があります。ゲームが始まってしまうと、騒がしくなってしまうためです。また、予告せずに途中でばちっと切ると、ゲームに熱中している人が強い不満足を抱くことがありますので、注意しましょう。

告知

研修では、2-4週間前に研修内容を告知する必要があります。ゲーム研修の場合に、最も重要なことは、告知でネタバレをしないことです。ゲーム研修は体験しながら本質に到達していくミステリーのような性質があります。その日にやることを全部記載すると、予想がついてしまい、犯人の分かった推理小説のようになってしまいます。体験する中で新たに学習していくという体験型研修の意味をなさなくなってしまいます。

研修の告知に「フォーマット」がある会社を数社見たことがあります。「そのフォーマットに則って書かなければならないから体験型研修は実施できない」と仰るのを聞いて、高橋は仰け反ったそうです。そもそも何のためにフォーマットを用意しているのか、何のための研修なのか。こういったことを考えれば、フォーマットが適切でないから修正するという動きになるはず。しかし、制度が固定化するとこのようになってしまい、必要なことが実施できなくなってしまうのです。

次に告知する際には、研修名は重要なメッセージになります。「ビジネスゲーム研修」と名付けるのはあまり好ましくありません。ゲームにばかり意識がいってしまい、ゲームをするなら仕事をした方が良いなという人がでてきたりするので、ゲーム研修のコンセプトを名前にするとよいです。
あらかじめどんな場なのかを明示しておく必要があります。どんなコンセプトかが伝わり、その際方法としてゲームをやるんだというニュアンスを含ませられれば完璧です。

これについては、弊社高橋が以下でで書いていますので、参考にしてください。


次回は、「研修当日」編です!

目標設定ツール「13GOALS」

システマティックに研修を作る方法~インストラクショナルデザイン~

特別企画「ゲーム研修運営の超基礎」を2/20に開催します!

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