先日、カスハラにまつわる3つの誤解と5つのアイデアというテーマでウェビナーを実施しました。本コラムはそのウェビナーのダイジェスト版となります。
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昨今、カスハラ(カスタマーハラスメント)が話題です。今年の4月からは東京都でも条例が施行され、対策が急務という会社も多いのではないかと思います。カスハラは、パワハラやセクハラとは性質が異なります。「社員以外の第三者(カスタマー)が起こすから対策が難しい」と思われがちですが、本当にそうでしょうか。
カスハラには誤解が多々ある
カスタマー対策だけでは十分ではない
パワハラやセクハラは社員が主体となるため、抑止を目的とした研修が必要ということは分かりやすいため、各所で実施されています。しかし、カスハラについては「接客業(BtoC)特有の問題だから、BtoBには関係ない」という見方があるため、「顧客側が起こすものだから社員研修で止められない」と考えられ、優先度が下がりがちです。
加害防止の取り組みも必要
東京都の条例では、事業者の責務として「企業には、その事業に関して従業者が顧客等としてカスタマー・ハラスメントを行わないように、必要な措置を講ずるよう努めなければならない」「事業に従事するものが、カスタマー・ハラスメントを行わないよう、カスタマー・ハラスメント防止に関する研修や教育等を行っていくことが求められる」としています。
社員が取引先や店舗で“顧客”として迷惑行為をする場合もあり、社員自身がカスハラの“主体”にも“客体”にもなり得る以上、その両面を踏まえて被害防止と加害防止をあわせた研修が必要と考えるべきなのです。社員がカスハラを引き起こすリスクがある以上、すべての企業が対岸の火事とは言えないのです。
罰則規定はありませんが、罰則がなければやらなくてよいと考えるのかどうかは各社の判断です。ただ、昨今は法令順守だけではなく企業倫理という観点で高い水準が求められているのはご存じの通りでしょう。「罰則規定がないからやらない」という判断はないように思います。
加害防止の取り組みは心理的安全性が低い
しかし、また、問題はもう少し根深いものです。「あなたは潜在的な加害者かもしれない」という一方向のアプローチだけでは逆効果の恐れがあるという指摘もあります。
“潜在的加害者”を強調しすぎると心理的安全性を損ない、ハラスメントを助長し得るとの研究結果があります。以前から、当社が主張している通り、従業員は潜在的な加害者という心理的に安全でない扱いをされるとむしろ抵抗するのです。
なので、社員がカスハラの加害者にならないための研修として、アンガーマネジメント(当社では提供していません)、アサーティブコミュニケーション、「イエナイヨ」などもありえますが、それは最適解ではないということになります。
ハラスメント研修として人を集めてこれらを実施すると、「あなたたちは全員潜在的加害者です」と押し付ける形になり逆効果になりかねません。では、カスハラの教育ニーズはどのように埋めていけば良いのでしょうか。
当社のウェビナーでは、これらを改善するための5つのアイデアをご紹介しています。もしご興味があれば是非ご視聴ください。
まとめ
カスハラはBtoCだけの問題ではなく、BtoB企業や社員個人でも起こり得ます。従来の「クレーム対応研修」では不十分で、被害防止と加害防止の両面を含む総合的なアプローチが重要です。「潜在的な加害者」に過度に焦点を当てると逆効果の恐れがあるため、心理的安全性を確保した上で研修設計を行うことが鍵となります。当社は、第三者介入を2018年より取り入れて研修を行ってきていますので、少なからずお力になれるのではないかと思います。
関連リンク
【ウェビナー】2/28カスハラにまつわる3つの誤解と5つのアイデア
第三者介入の観点で良い職場を実現する-ハラスメント防止研修-
公開日: 2025年4月8日