問題解決研修で参加者が躓く8つのポイントと最近の発見 | ゲーム研修で人材育成を内製化 | カレイドソリューションズ

代表コラム

COLUMN

問題解決研修で参加者が躓く8つのポイントと最近の発見

先日、問題解決の研修を実施した際の発見を書きます。

当社では、問題解決の手法を3つの段階に分け、ステップアップしながら学んでいく手法を採用しています。そこでは当社らしくゲーム「解決昔話」を用いるのですが、そのゲームでは「昔話」を扱います。毎回、さまざまな発見があるのですが、今回発見したことと、直近の実施で発見したことを五月雨ではありますが、書いていきます。

なぜ研修で楽しく会議できる人たちが社内では楽しく会議できないのか

昔話についての「問題」などを議論している際の様子を見て、「楽しそうに議論しているな」と感じました。なぜ昔話を採用しているかというと、社内の会議のアナロジーだからです。ただ、「社内の会議ってそんなに楽しそうに議論していないよな」という感覚が芽生えました。

本来、前向きにアイデアを出したり、未知のことに答えを出していく活動は楽しいはず。それにも関わらず、そうなっていないのはどうしてか。そういったことを考えさせられました。

問題の記述で困るのは

本研修では、初学者向けに問題とは目標と現状のギャップと定義し、目標は目的によって規定され、目標と現状は値もしくは状態で記述されるという話をしています。

このときに、現状と問題の違いが分からない、目標を記述できず目的を書いてしまう、問題解決にあたろうと思うと、先に問題を決めてから目標と現状を決めるという決め打ちといった現象が見られます。これらをしっかりとフォローすることが研修成功のポイントです。

現状と問題の違いが分からない

例えば、「ゴミが落ちている」は問題でしょうか、現状でしょうか。意味がない議論に感じる人もいるようですが、これが区別できない人は問題解決を考えるスタート地点に立てないと思っています。まずは、ここを解きほぐす必要があります。

目標を記述できず目的を書いてしまう

目的と目標も混同が多い言葉です。「頑張る」みたいなものを目標に据えると、達成が判定できませんし、ギャップを取ることもできません。当社では目標設定の研修として「13Goals」を開発したことがありますが、研修内で目標の記述のルールを紹介するようにしています。

先に問題を決めてから目標と現状を決める

先に、「〇〇が問題だ」と思いつくことがあります。その後、これを問題にしようと思うと、何をゴールにしていたらいいかな、そしてどんな現状が都合がいいかなという逆向きの思考になります。例えば、事実ではないものを現状とする捏造が生まれるのは良い例でしょう。極端な例だと、「高橋さん、問題は決まったんですけど、目標が思いつきません」という形で質問がくることもあります。「問題の決め打ち」と呼ぶ現象です。

原因分析をする際に困るのは

原因分析でも同じように躓くときがあります。解決昔話では、原因を「結果を引き起こしたことや行動」と定義しています。「こと」には出来事などがあり、行動はそのまま行動です。このように定義している理由は、ことや行動でないと後から手を打てないからです。ただ、ワークを行うと、この定義を理解していない回答が頻発します。また、問題と同じく原因分析でも「決め打ち」が発生します。それぞれ少し説明します。

原因の意味の取り違え

原因は結果を生みます。結果は原因から生まれます。だから、結果の方が過去で、原因が結果よりも時系列が後なのはいうまでもありません。ただ、原因を頭の中で「なぜ」と置き換える現象が良く発生します。このため、時系列を無視した深堀が生まれるんです。なぜかというと、「なぜ」は次第に「何のため」と変化し、いつの間にか、whyではなくfor whatにすり替わるからでしょう。そうすると、過去の原因ではなく、出来事を抽象化したものにすり替わっていくのです。当社のロジカルシンキング研修では、頻発するため、2つのwhyをスライドで説明しています。

原因の記述の誤り

原因として「人間の本性は悪だから」のようなものがあがることがあります。これは出来事でも行動でもありません。だから手を打つことができません。手が打てないものを掘り下げていっても解決には至りません。一般的に言われる原因であったとしても、手を打てなければその議論は無駄になります。この原因の意味の取り違えも頻発し、これをやってしまうと因果が綺麗に分からなくなりますから、どうしてそう考えたのかを後で説明してもらうと筋が通らなくなります。

原因の決め打ち

解決昔話では、リニアな原因分析として、なぜなぜ分析を行っています。原因に対して、さまざまな原因を考え、その一つを更に掘り下げる。それを繰り返し、最も大切な原因である「真因」を特定します。ただ、ここでも問題設定と同じことが起こります。はじめに真因を思いつく、そして、原因と真因の間を論理で埋めようとするんですね。これは試行手順が全く逆です。このタイプの方は、真因から説明することはできるが現状からなぜなぜの順に説明することができません。

解決策の評価と「価値」の関係

解決策を評価するというパートがあります。たまたま前の週に「顧客価値」の研修をしていたので、解決策の評価は「意思決定のフレームワーク」と共通すると感じました。マックス・ウェーバーによると、人は感情・伝統・価値合理性・経済合理性で意思決定します。この中で、価値合理的というところが最も難しく重要なのですが、そもそも「価値」についての洞察がないと価値がどういうものかもわかりませんので、判断がつかないということになります。

問題解決は「武器」である

武器というとよいイメージがあるかもしれませんが、あえて逆の話をしました。武器であるということは、悪用もできるし、他者を傷つけることもできてしまう。自分自身が以前武器として問題解決を用いた結果、「目には目を」で酷い目にあった経験があります。なので、武器を無配慮で使うと報復されることもありうるというコミュニケーションよりの話をしました。

これは、特に20代に顕著で、ロジカルシンキングを学んだ若手が有能感を持ち、家族や友人にそれを振りかざして人間関係がこじれたり、いけすかないやつだと思われたりする。そういう若手をみたことはないでしょうか。まさに、こうした点への言及をしました。

問題解決の研修は比較的実施の難易度が高いものですが、このようにさまざまな実践知を積み上げていっている当社の問題解決はかなり伝わりやすい研修になっていると思います。是非、ご参考ください。

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