「ずっとも」の一次募集時には当社の事業領域としての新しさである「研修内製化」を中心にコラムを書きました。ただ、「それでも謎すぎる」というお客さまもいらっしゃるようです。当社は少なからず「ゲーム研修」のプレイヤーとして認知いただけておりますが、そことのズレがあるのではないかと思います。なので、今回は、「ずっとも」のラインナップにおける「ゲーム研修」としての新規性を書きたいと思います。
そもそもゲーム研修の強みとは?
ゲーム研修全般を俯瞰すると、様々な強みがあります。当社がこれまで取り組んでいたのは、”全体像や仕組みの理解・重要性認知”や”反復訓練”です。経営シミュレーションに属するものは、それを実施することで、経営の全体像を理解し、財務の仕組みを理解し、意思決定の重要性を理解できます。これは”全体像や仕組みの理解・重要性認知”に属するものです。(※厳密に切り分けることは難しく、反復訓練で仕組みがわかる部分もあります)
またコミュニケーションなど反復が重要なものは”反復訓練“を用いることで定着を図ってきました。反復するためには、根性や辛抱が重要だと思われがちですが、実はテレビゲームなど楽しい活動では我慢どころかハマってやりつづけます。こうしたゲームならではの「ハマる」仕組みを活用し、行動の継続と興味喚起を促しているのです。
KSAフレームワークで整理すると?
これ2つに端的なラベルをつけると、前者は重要性認知ですから「態度」の変容、後者は反復ですから「スキル」の定着になります。「態度」「スキル」と2つが登場すると、人材開発を専門とする方であればKSAというフレームワークが頭に浮かぶでしょう。
KSAを一応説明しておくと、能力を知識(knowledge)、スキル(skill)、態度(attitude)に分けるものです。これを知ると「あ、ここまでの話は、態度・スキルの話だったから次は知識の話がでてきそう」とピンとくるのではないでしょうか。
そうです。当社の取り組みの一つは、「知識」領域に属します。もう少し詳しく説明しましょう。知識教育は、これまでゲームとは遠い領域だと思われていました。私もゲームに関する薫陶を受けた方から「ゲームは知識習得には向かない」といわれて「そういうものなのか」と納得していた時期があります。ただ、私はひねくれ者なものですから、できないといわれるとできる方法を考えたくなります。その結果、分かったことは、「経営シミュレーションは知識習得に向かない」であり、経営シミュレーション=ビジネスゲームという狭い領域のみ通用する話だったわけです。
知識が活用できたとはどんなときか?
知識という言葉ひとつとっても様々な捉え方があるので、十把一絡げには言い切れないのですが、知識が活用できたという状態は、必要なときに必要な知識が引き出せたときなのです。まさに上記のKSAのようなものがそれにあたります。スキルと態度の話がでたから次は知識のことなのだろうなと考えられる。それはスキルと態度という言葉から知識が「想起」された、もしくはスキルと態度という言葉からKSAが想起され、そこから知識が想起されたといえます。
そうです。実は、ゲームの3つ目の強みは「想起」、つまり「思い出しやすい」です。学習の成果を「想起できるようになる」と定義する考え方もあります。やり方が想起できる、考え方が想起できるのと同時に”知識が想起できる”も実は重要です。この想起を強く意識した研修コンテンツの提供が今回の新事業の一つの肝になります。
例えば「キーワードから話題が思いつく」「キーワードからフレームワークが思いつく」「キーワードから価値が発見できる」「キーワードから自社のビジネスの改善方法が思いつく」などは想起に属します。
(フレームワークを学ぶ研修)
知っていても実践できないというが、そもそも知らないのではないかという仮説
当社へお声掛けいただくお客様の声として「知っていても実践できない」ことへの問題意識が高い傾向があります。私は基本的には登壇しないスタンスなのですが、たまに登壇して参加者に問いかけると、「聞いたことがなかった」「聞いたことはあるけど説明できない」という参加者が多いです。実践できないのはそもそも知らないからなのではないかという仮説から効率的知識習得と知識の運用力向上に絞るというアイデアに思い至ったのです。
調べてみると、知識領域でゲーム性を取り入れた方が結果の質が高いという研究は数々あります。
今回の新事業「ずっとも」で提供されるものにはこのようなものが含まれる予定です。面白いと思っていただけるかどうかは分かりませんが、態度よりもスキルよりも実用性が高い点ではユーザーを選ばずに使えるものなのではないかと思います。
—「ずっとも」は2019年12月31日で中断しました—
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公開日: 2018年3月5日