ノンテクニカルスキルとは
昨今、製造現場の研修のお仕事をいただくことが増えています。工場に行くと、工場特有の用語なのか「ノンテクニカルスキル」という言葉が使われます。ノンテクニカルスキルとはどのようなスキルなのでしょうか。
人材開発を学んだ方であれば、「ノンテクニカルスキル」と聴くと反対の概念である「テクニカルスキル」をまず想起するでしょう。テクニカルスキルというと、ロバート・L・カッツのカッツモデルをすぐに思い出すのではないでしょうか。カッツは、スキルをテクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルの3つに分け、役割の大きさによって求められるスキルが変化することをモデルにしました。
テクニカルスキルは役割が小さいときに重要で、コンセプチュアルスキルは役割が大きいときに重要になります。また、ヒューマンスキルはどの役割においても等しく重要と考えるのです。
ノンテクニカルスキルとは、テクニカルスキルを「ノン」で打ち消しています。こうした用語パターンは散見され、認知スキルに対して、非認知スキルといったものがありますが、「ではないもの」という意味を持ちます。なので、「ノンテクニカルスキルとはテクニカルスキルではないものすべて」のことです。これに前述の「カッツモデル」を対応させると、ノンテクニカルスキルとは、ヒューマンスキルとコンセプチュアルスキルを合わせたものだと定義されます。
ノンテクニカルスキルはテクニカルターム
ノンテクニカルスキルは、ネット検索を行うと、医療・看護・航空等の業界での用例も多く、これらの業界の共通点は「事故が命に大きく関わる」点です。製造現場では、一つのミスが従業員の命を脅かすこともあります。このため、この用語が親しまれるようになったのではないかと考えています。ご担当の方が「ノンテク」とか「ノンテクスキル」という風に略して呼ぶのも耳にします。
当社は昨今工場でのお仕事が増えていますが、主に化学と食品なのでその他の工場ではどうかわからないところはありますが、逆に人事・人材開発の方からはこの言葉をあまり聴きません。どうしてかというと、テクニカルスキルは現場では最重要な教育だからなのではないかと思います。現場では、普段テクニカルスキル教育が中心であるため、その反対概念が創造されたと考えるのが自然でしょう。
そうした点で、現場目線のテクニカルタームなのだと思います。
製造現場に必要なノンテクニカルスキル
工場では、安全が最重要ですが、安全は技術だけでつくられるのではありません。組織のために頑張ろうといった「組織市民行動」はノンテクニカルスキルでしょうし、ヒューマンスキルが顕在化しないような非人間的な職場では「組織阻害行動」が起こります。つまり、ノンテクニカルスキルの教育は安全を脅かす遠因を潰すための欠かせない取り組みだといえるのです。
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PRtimesのApril Dreamにてプレスリリースを行いました!
公開日: 2024年4月17日