「楽しさ」についてです。
楽しいとは必ずしも遊びではない
弊社はビジネスゲームを数多く取り扱っています。このため、内定者研修や若手社員のモチベーションアップ、採用などの用途でお声がかかることがとても多いのです。
「ゲーム」というと、「遊び」というイメージが先行するために、「学び」ではなく、「遊び」に視点が向いてしまいがちです。
「遊び」を研修技法として採用するからには、「楽しい」ものでなくてはいけないとよく言われます。楽しい研修をすることで、参加者満足を向上させたいという意図なのでしょう。
もちろん、楽しい研修はゲームを活用して実現できます。しかし、楽しいとは必ずしも遊びではないんです。
- ゲームは遊び
- 遊びは楽しい
- 楽しいと満足する
は成立すると考えます。
しかし、
- 楽しいのは遊び
- 遊びは楽しい
は必ずしもイコールではありません。
そもそも「楽しさ」ってなんでしょうか?
「楽しさ」を”fun”として、英英辞典のMerriam-Webster’s online dictionaryで調べたところ、以下のような記載がありました。
fun; a mood for finding or making amusement
amusement; the condition of being amused
amused; to occupy the attention of /absorb
absorb; to take in /acquire,learn
簡単にいうと、 「楽しい」という感情は、「吸収する」「モノにする」ときに生じるものなんですね。そして、「吸収する」ということは、「学ぶ(learn)」なんです。
「吸収する」「モノにする」とは、単に「知る」のとは異なります。物事を本質的に「分かった!悟った!ユーレカ!」と理解した状態を指します。禅だと、「頓悟」っていいますね。だから、
- 遊びは楽しい
- 楽しいから学べる
はずなんです。
この「楽しさ」についての世の中の誤解を解きたいなと思います。
なお、このブログを読んで「じゃあ、分かるってどういうことなの?」というマニアックな疑問を持った方には、「「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学 (ちくま新書)」 がお勧めです。「わかる」がどのようなときに生じるのかが「わかる」本です。分かるための要素にはいくつもあるのですが、「全体像」とか「因果関係」が分かるとわかるようです。
もう一点、楽しさには、それを阻害する要素があります。それが、「ユーザビリティ」です。これが悪いと楽しいものも楽しくなくなります。「ユーザビリティ」やゲームが人を夢中にさせるノウハウについては、「ゲームニクスとは何か―日本発、世界基準のものづくり法則 (幻冬舎新書) 」を読むと、よく分かります。
(ちなみに過去に「使いやすさの大切さ」 というコラムでも近いことを書いてます。)
カテゴリー: ビジネスゲーム考
公開日: 2009年5月1日