自社サイトの「新着情報」を見たら、新しい情報が少なく、「高橋はコラムしか書いていないんじゃないのか」とご心配されている方もいるかもしれません(笑)まもなく、いくつかのコンテンツを発表致しますので、楽しみにしていてください。
先日、ものすごく久々に「多面評価ってどうですか?」という質問を受けました。
多面評価というのは、180度診断とか、360度診断などが代表的で、周囲の人の評価を集計したもののことです。
多面評価は、「主観の集合」と言われ、客観性はあまりないと言われます。
なので、
研修の本人の振り返りの用途としては有効だけれども、評価のためのデータとしては、会社の人材の成熟度に大きく依存するので、分からない
と機械的に答えるようにしました。
この回答をしたときに、
「あれ、いつ頃からこう考えるようになったんだっけ?」
と振り返り、オフィスで文献をめくっていたら、「人事アセスメント入門」を発見しました。
この文献のP90に
縦に、
- 「組織の状況」
- 「人事の基本方針」
- 「教育訓練のニーズ」
- 「従業員の評価に対するニーズ」
- 「職場風土の状況」
- 「上司/部下関係」
- 「多面観察評価の実績」
横に
- 「導入は時期尚早」
- 「能力開発の一環として検討」
- 「評価情報としての利用を検討」
という項目が置かれたちょっと見方の変わった表があります。
面白いなと感じるのは、「職場風土の状況」「上司/部下関係」の軸です。
- 「形式的で自由にものが言えないし、出過ぎたことはすべきでないとされている」「相互批判は慎まれ、「和」が最高の価値とされる」場合は、導入は時期尚早
- 「 自己評価を促し、現状にインパクトを与えたい」「厳しさが奨励されているが、徹底は出来ていない」場合は、能力開発の一環として検討
- 「オープンでわだかまりがない」「相互のフィードバックが建設的に行われ、個人で自律できている」場合は、評価情報としての利用を検討
となっています。
この表を自分なりに解釈して、今の自分の意見が形成されたんだなと思うのですが、この意見には、実は自分の「ターゲット顧客」というバイアスがかかっていたことに気付きました。
講師派遣型の研修などの営業をしていると、多くの場合、何らかの形で自社の組織及び人材に問題があるもしくは問題意識を抱えている企業ともっともビジネスを行うことが多くなります。研修を外注の量がとても多いという企業(=研修会社にとっての優良顧客)は、ステージが「導入は時期尚早」か「能力開発の一環として検討」なのです。
なので、私の考えていた解は、この前提に立つと、多くの企業に当てはまる妥当解だったのです。しかし、最近、弊社がお付き合いをするお客さんは、自前でゲーム型の研修を行って、参加者に気付きを与え、自律的に学習してほしいという会社さんが中心で、ステージが少し違っているように思います。なので、かならずしも以前と同じようなアドバイスは適当ではないなと感じます。ターゲット顧客が変わっていたのです。
今回改めてこのことについて考えてみたことで、自分が当たり前と考えていることに、何かしら暗黙の前提があるのではないかと考えるきっかけができました。
たまに振り返って考えてみることをしないといつの間にか思考の罠に填ってしまうかもしれないと思い、ぞっとしました。猛省します。
カテゴリー: 考え方
公開日: 2009年9月24日