コミュニケーションにおける理解の構造
ルール説明に面白さを感じています。
人間のコミュニケーションって、「出力→変換→入力」という流れになっています。
話した(=出力した)ことが100%伝われ(=入力されれ)ば、いうことはありません。しかし、実際はそうはうまくいきません。
例えば、私は私の頭にあることを80%程度しかアウトプットしかできず、それを聞き手は解釈して、70%程度理解します。そうすると、伝えたいこと全体の56%程度が理解されることになります。(数字は主観的な数字です。)
パワーポイントでルール説明を行った場合でも同じで、大体の場合、参加者は7-8割程度の理解度で、もやもやしています。(このもやもやは意外に大切です。)
理解度はどこを着地点とするのか
ここをどう捉えるのかが面白いのですが、人事さんから貰う意見は大体以下の通りです。
「ルール説明が複雑。もっと簡潔明瞭にしてほしい。」
簡潔明瞭にすると、
「もう少し歯ごたえのある内容にして欲しい。うちの社員には物足りない。」
となります。
参加者は実は全く逆で、難しい説明だと、
「徐々に自分の理解が進んでいくのが面白かった。」
と、逆に楽しんでいたりします。(これが「仕組みが分かる楽しさ」というやつです。)
逆に簡潔明瞭だと、
「もっと歯ごたえのあるゲームにチャレンジしたい」
となり、意外にも不満がでます。
人間ってわがままです(笑)
もちろん、簡単で分りにくいのはよくないのですが、この「分らないんだけど、分りそうな感じ」が肝で、徐々に勘をつかんでいくプロセスが、楽しさの1つである「分った!」という感覚なのでしょう。
全員の理解を優先するのか、一部に理解できるレベルに止め、その後のディスカッションを充実させるのかという色々な考え方ができます。このルール理解については、楽しさの1つの要素として面白みを感じました。また、人事目線と参加者目線が違うことにも面白みを感じています。
ゲームのルール理解が難しいことから分かる事実
「研修のもつ物語性」に絡めるとより面白いことが見えてきます。
そもそも講義型の研修って、講義する側は思っていることの8割が発信できて、受け手は聞いたことの7割を受信できるとすると、教わったばかりでも5割強しか伝わっていないんです。
これがまさに顕在化するのが、ゲームのルール説明。ゲームだと、ルールの理解度が結果に影響を及ぼすから、目に付きやすいんですね。
ところが、実はゲームのルールだけが伝わっていないワケではありません。言葉で何かを伝えるという活動自体が非常に困難なのです。ということは、研修における講義部分も伝わっていない可能性は濃厚です。ゲームのルール説明の分量よりも、研修で講師が話す分量の方が圧倒的に多いですもんね。
この事実は、きちんと分かった上で研修ってデザインされているんでしょうか。興味があります。
また、実はゲームや研修の学びの一部もここにあり、みんなで分からない点を共有したり、異なった解釈を出して対話のタネにしたり、色々と発展させることができるんですよね。
この点は、強みでもあり、弱みでもあるのですが、このテーマはもっと掘り下げたいと思っています。
カテゴリー: ビジネスゲーム考
公開日: 2009年11月24日