研修会社に勤めていた頃、研修とは1日とか2日で実施するのが当たり前だと考えていました。
サービス提供者としても売上が稼げますし、顧客もそれを求めているという前提で商談を進めていたのですが、実はこれには、2つの常識があるのではないかと思います。
まず、研修会社側の常識です。研修会社は講師を自前で持たず、外注するケースがとても多いですが、講師フィーを時間単位ではなく、一日単位でチャージするのが一般的です。このため、数時間の研修でも一日分の料金を顧客にチャージする必要がでてきます。これだと数時間の研修は販売しにくいと考える営業が多いので、研修も一日単位で提供するのが自然となります。
次に顧客側の常識です。研修会社は一日単位の研修を提供するもので、数時間の研修でも一日単位で請求されるというのがあたりまえになっています。なので、研修が数時間で十分なものであったとしても、もしくは、大半は社内講師でできるものだったとしても、「折角お金を払うんだから1日やってもらおう」ということで、1日単位で発注を行います。
当初はこの背景が共有されているのですが、異動等で背景が共有されなくなると、数時間の研修は外注するべきでないという考え方が浸透することになります。このため、費用面で制約がある場合、「うーん、仕方ない、自分たちで研修コンテンツを作るか」ということになり、若手の研修担当者が苦労するという現象がうまれているのです。
弊社も創業期は、「お客さまのニーズは1日研修」という常識にとらわれ、1日研修のコンテンツを作っていたのですが、購入いただいたお客さまの声を伺うに、1日のコンテンツを求めているケースは非常に限定的で、
- 新入社員研修など時間をかけて実施することが決まっているもの
- 遠方から人を呼び、かつ自前で実施するコンテンツがない
だということが分かりました。
これ以外は、ほとんど、「短時間で効果的に実施したい」「社内で既に持っているコンテンツと組み合わせて、機動的に実施したい」「社員を長時間拘束できないので、短い時間で実施したい」という理由で、弊社のパッケージをレンタルではなく、買い取りで購入いただき、長期間繰り返し利用頂いています。うーん、常識って怖い。
当初は、レンタルのほうが圧倒的に多くなるだろうと見込んでいたのですが、実は件数的にも買取が増えてきていて意外さに驚いています。こういう常識も疑ってみると何かが見えてくるかもしれません。
カテゴリー: コラム総合 ,代表コラム ,当社の経営を考える
公開日: 2010年9月9日