研修では「概念化する」という言葉をよく使います。
これは、「記憶をどのように保管すればよいのかわからない」し、学んだことをそのまま記憶してもややこしいために、保管しやすいように概念化するのだと考えるとよいのではないかと考えています。
しかし、実務の場では、概念化するといっても、概念化が何を指し、どの程度概念化すればよいのかは、難しい問題です。何かヒントになる研究などはないのでしょうか。
とある研究では、3つのレベルで実験をしたそうです。
- 「具体的」なヒントをあたえました。概念化されていない「物語」的なものです。
- 「ことわざレベル」のヒントをあたえました。やや概念化の度合いの高い「ことわざ」です。
- 「抽象的な」手掛かりをあたえました。完全に概念化された「抽象語」です。
この3つの中で最も想起を促したのは、「ことわざ」だったとのことです。
この3つは、具体・中間(準抽象化)・抽象と分類できますが、どちらに偏っていてもよくないようです。
その他の知見も入れてまとめると、
- 教科書で教えるよりも、ゲームのみで教える方が想起を促す
- ゲームのみで教えるよりも、振り返りで準抽象化で概念化させる方が想起を促す
ということがいえそうです。
研修の現場でこれを行うのであれば
- 気づきのアウトプット
- アウトプットした知識の構造化
- 構造化した知識のことわざ化
という手順で振り返りを進めるとよさそうです。
ここまで、5回にわたって、3つの類似性のうち、表層要素の類似性と関係構造の類似性について書き、「保管した記憶を思い出せない」「記憶をどのように保管すればよいのかわからない」について書いてきましたが、次回は、一つ書き残していた3つ目の類似性「目的の類似性」について書いて、最終回としたいと思います。
公開日: 2014年7月10日