研修には色々なものがあります。
教え込むタイプの研修を受講したら、そこで学んだ内容をどのように使えばよいのかが容易に思い浮かびます。一方でゲームを使った研修に参加してもどのように使えばよいのかは容易には思い浮かびません。これがゲーム研修が嫌われる理由の一つでもあります。
これはなぜかというと、前者が「低次な思考」である一方で、後者が「高次な思考」を要求するものだからです。
なぜ、ゲームだと使い道が思い浮かばないのでしょうか。
使い道さえ思い浮かべば、ゲーム研修は高次な分だけよいものになりそうです。
その理由には2つあります。
- 保管した記憶を思い出せない
- 記憶をどのように保管すればよいのかわからない
この2点をクリアにすれば、ゲームを使った学習が機能するといえそうです。
まず、1点目の「保管した記憶を思い出せない」に対して、どうやれば保管した記憶を思い出せるのかを何度かに分けて書きます。
■想起するための3つの類似性とは?
記憶を思い出すことを「想起」といいます。
「似ている」ものをみて「類推」することが「学習転移」といってもよいでしょう。
人は3つの類似性から学んだことを想起しているといいます。
- 表層要素の類似(モチーフが似ていること)
- 関係構造の類似(構造が似ていること)
- 目的の類似(目的が似ていること)
ケーススタディやビジネスゲームをご紹介すると、「自分の業界に似ているものが良い」といわれることがあります。そういわれても、何をもって似ているとするのかは良くわかりません。なので、やや曖昧な「似ている」を3つに分けて整理したものがこの3つの類似性です。
「自分の仕事と似ていないと参加者がぴんとこない」という研修担当の方がいらっしゃいます。これは、表層要素の類似のことです。一方で、研修ベンダーはそれに対するカウンタートークとして、「自分の仕事と似ているにこしたことはないですが、仕組みが似ていればモチーフ(表層要素)は違っていても大丈夫ですよ」といいます。これは、関係構造の類似のことです。
表層要素と関係構造はわかりやすい一方で、「どちらの言っていることが正しいの?」「表層要素の類似と関係構造の類似はどちらがよいの?」という疑問があると思います。どちらがよいのでしょうか。
次回は、「モチーフが似ている」と「仕組みが似ている」のどちらが想起しやすいのかについて書きます。
公開日: 2014年7月5日