こんにちは、インターンの渡邊です。
今回は、前回に引き続き意思決定の経済学的アプローチについて説明していきたいと思います。
意思決定の際に重要になるのは環境です。これを考慮しないと、経済学的に最適な意思決定は実現できません。
ここで考慮される環境には大きく分けて3つあります。
- 確実性下における意思決定
- リスク下における意思決定
- 不確実性下における意思決定
確実性下における意思決定
1つ目は、確実性下における意思決定です。
これは、意思決定の際に確率の影響を受けない環境です。ここで問題となるのが選択肢の相互関係です。この相互関係には、独立案・排反案・混合案の3種類があります。
独立案とは
独立案はそれぞれの案が相互に影響を受けないものです。これにより、資金などの制約はあるもののどのような組み合わせでも可能になるため、自分にとって有利な組み合わせを選び取ることができます。たとえば、サラダバーにおいてにんじんをとったからといってブロッコリーを取れなくなるわけではありません。これらは自分の効用が最大になるように組み合わせることができます。よってこれらは独立案です。
排反案とは
排反案は選択肢の中から1つを選択したら他の選択肢は選べなくなるものです。たとえば、お昼ごはんをかつ丼にするかラーメンにするか迷って、結局かつ丼にしたらお腹いっぱいになってしまってラーメンは食べられなくなりますよね。これは排反案です。
混合案とは
混合案は独立案と排反案の両方の性質を持つものです。この場合、独立案の優先順位を効率にもとづいて選定し、排反案において効用を最大化できる選択肢を追求します。
たとえば、お金には余裕があってお腹の容量には限度がある場合、お金を気にせず様々なご飯屋さんに行けるため独立案的な性質を持ちますが、お腹の容量には限度があるため排反案的な性質を持ちます。このため、自分の効用を最大化できるように適切な店選びを行う必要があり、混合案であるといえます。
確実性下における意思決定では、これまで挙げてきた独立案・排反案・混合案のいずれの場合でも、自分の効用が最大になる選択肢がとられます。
リスク下における意思決定
次に、リスク下における意思決定です。
ここでいうリスクとは結果の振れ幅のようなもので、一般的なリスク(危険や下振れのみを考慮している)と違って上振れも考慮しています。リスク下における意思決定は、状態の確率分布(確率分布とは各々の状態をとる確率のこと)が予め分かっているため、効用関数(効用を定量的に表現できる、効用とは嬉しさのようなもの)を利用して期待値を計算することにより期待効用を最大化させる最適な選択肢を選んで意思決定ができます。
どういうことかというと、明日の降水確率が30%、ピクニックの効用が10、引きこもるときの効用が3だと分かっている状態でピクニックに行くか家で過ごすか考えた場合には、「ピクニックに行くときの期待効用は10*0.7+0*0.3=7、引きこもるときの期待効用は3*0.3+3*0.7=3、ピクニックの期待効用のほうが大きいからピクニックに行こう」という意思決定を行うような感じです。
不確実性下における意思決定
最後に、不確実性下における意思決定について説明します。
ここでは、リスク下における意思決定とは異なり、状態の確率分布が分かっていない状態において意思決定を行います。ここでも、期待効用を最大化させる意思決定を行うことになります。この場合、状態の確率分布を自分で推定してから意思決定を行います。どういうことかというと「天気予報を見てないから正確な確率は分からないけど、今日の空を見る限り雨が降る確率は多分30%くらいだから家に引きこもったときの期待効用は3*0.3+3*0.7=3,ピクニックに行くときの期待効用は10*0.7+0*0.3=7でピクニックのほうが大きいからピクニックに行こう」というような意思決定を行うようなものです。
まとめ
以上が意思決定の経済学的アプローチの基礎となります。このように、意思決定の経済学的アプローチにおいては数学的な処理が必要となります。
今回までで、あらゆる情報を加味して適切な判断が下せる合理的個人としての人間を仮定している主流派経済学的な意思決定アプローチについて説明しました。
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カテゴリー: メンバーコラム
公開日: 2022年5月4日