当社ではコンテンツを用いた内製化支援を行っているため、研修資材は基本的にお客様に郵送します。
当社の学生メンバーは郵送すると終わったー!と達成感が生まれがちですが、研修は研修資材を納品したら終わりではないとよく言われます。
研修は実際に実施されて、その研修効果が認められて初めて価値が生まれます。
効果的な研修を提供し、顧客価値を実現するためには研修の効果を測定することが必要になります。
研修の効果を測定する手法については、今までに多くのモデルが考案されてきました。
ここではその代表的なものを取りあげ、解説します。
カークパトリックの4段階
カークパトリックモデルとは?
研修の効果測定の最も有名なものの一つがアメリカのカークパトリック博士が1959年に発表したカークパトリックモデルです。
企業における学習効果測定の先駆け的な存在と言われています。
このモデルでは研修効果の測定を以下の4段階で説明しています。
- 反応(Reaction)
- 学習(Learning)
- 行動(Behavior)
- 結果(Result)
反応について
反応は、「参加者がどう感じたか」を見ます。
以下の三つの観点で測定します。
- 顧客満足(参加者の満足度合い)
- エンゲージメント(参加者の関与の積極性度合い)
- 関連性(参加者が学習内容を仕事で活用できる機会がある度合い)
学習について
学習は、「参加者がどんな知識・スキルを獲得したか」を見ます。
- 知識
- スキル
- 態度
- 自身
- コミットメント
行動について
行動は、「学習内容をどのように応用しているか」を見ます。
必要なドライバー
結果について
反応は、「学習による行動変化がどのように組織に影響を与えているか」を見ます。
ちなみに、このモデルは評価項目レベルで改変がなされており、カークパトリックの息子夫婦によって、「ニューワールドカークパトリックモデル」として新しいものが発表されています。
新しいカークパトリックモデルについては、当社代表高橋がコラムを書いています。合わせてご覧ください。
ジャックフィリップスのROIモデル
カークパトリックモデルに新たにROI(費用対効果)の項目を加えたのが、ジャックフィリップスの5段階モデルです(加えられた要素のROIをとってROIモデルとも呼ばれます)。
ROIとはReturn on Investmentの略で、日本語では「費用対効果」と訳されます。投資などでよく使われる指標で、投資(この場合は研修)に対してどのくらいの効果(収益に直結する成果)があったかを示します。
ROIは以下の計算式で表されます。
(総利益ー総費用)/総費用 × 100
カークパトリックのモデルにおいては3, 4番目の項目は費用対効果についての追求が見て取れます。
それに定量的なものを導入したのがROIモデルと言えるでしょう。
しかし、実際には費用の算出や、満足度などの見えない効果の計測などについて課題が多く、実際の運用に関しては難しいという指摘もあります。
ブリンカホフのサクセスケースメソッド
Robert O. Brinkerhoffは2000年にサクセスケースメソッドと呼ばれる手法を発表しています。
サクセスケースメソッドは以下の4つの基本的な質問をベースに成り立ちます。
- What is really happening?(何が実際に起きているのか)
- What results, if any, is the program helping to produce?((研修)プログラムがどんな結果を生み出したのか)
- What is the value of the results?(結果の価値は何か)
- How could the initiative be improved?(イニシアチブをどのように改善できるのか)
研修効果測定の観点から見る研修の見分け方
研修効果測定の方法について見てきました。
正直自主的に行うには難しいのが効果測定です。また効果測定については日本では適切に行われるとはいいがたいのが現状です。
そのため研修会社を選ぶ段階でこうした効果測定に関してはどうかというチェックの視点を持っておくことが重要になります。
当社では、前述のカークパトリックモデルを用いて、研修の効果の測定の実験も行っております。
まとめ
この記事では、三つの代表的な研修効果測定について紹介しました。
研修を選ぶうえで、こうした研修効果に対してコミットしてくれる会社かどうか?という視点を持つのは重要です。
また研修実施後はこうした効果測定の手法を社内の学習効果の測定の参考にしていただければ幸いです。
—本コラムは弊社学生メンバーが2019年10月に書いたものです—
関連リンク
カテゴリー: メンバーコラム
公開日: 2022年11月10日