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損益計算書の区分が2027年から変わる件

日本経済新聞2024年7月11日の記事に「損益計算書3区分に」がありました。

国際会計基準のIFRS第18号の決定で、損益計算書の開示ルールが大幅に変わるというものです。新しく「営業」「投資」「財務」の3区分が設けられます。27年度から企業には強制適用され、更に早期適用も可能ということで、お勤めの会社によっては早々と損益計算書にこのフレームワークが適用されたり、また、財務分析などを行う仕事をしていれば他社の財務諸表がそのように変化するのを目にすることも出てくるでしょう。

この「営業」「投資」「財務」のフレームワークは、現行のキャッシュフロー計算書のフレームワークと同じものですので、キャッシュフロー計算書に馴染んだ方であればそれほど難しいものではありません。

むしろ、キャッシュフロー計算書と対応することで、より理解がしやすくなるように感じます。「営業」は本業の収益や費用ですが、これまでは「売上」から費用を引いていましたが、「収益」となります。なので、これまで営業外収益や特別利益だったものを合わせたものが起点になるということです。また、利益については、これまでは売上総利益と営業利益で分かれていましたが、大きく「営業」となることで公式には「営業利益」のみになるようです。実は、これまでは営業利益は開示が義務付けられてはいなかったそうですが、義務化されます。(売上総利益(粗利)は、個社の判断で表示することもあると思います。)また、国際会計基準では日本の特別損益の考え方がありませんので、特別損益の要素も営業利益の算出の中に含まれることになります。

「投資」は本業以外からの投資収益となります。配当金(持ち分法投資損益)や不動産収益といったものになります。これまでは、営業外収益・営業外費用を引いたものを「経常利益」と表記していましたが、名前が「財務及び法人所得税前利益」という名称になります。こちらも新たに開示が義務付けられたものです。こちらは、財務活動の影響を受ける前の利益です。

最後に、「財務」ですが、キャッシュフロー計算書の財務は資産負債の概念ですので、損益概念である損益計算書には、借入などは入りませんが、借入等に関連する借入金・リース・年金等の利息が入ってきます。これを「財務及び法人所得税前利益」に足し引きしたものが、「税引き前利益」となります。ここから法人所得税を引くことによって、「純利益」が算出されるようになります。

昨年、『企業価値向上のための経営指標大全 大津広一 ダイヤモンド社 2022』の読書会をしていたのですが、ここでは、スチュワードシップ・コード、コーポレート・ガバナンスコード、伊藤レポート、経産省の指針といった矢継ぎ早な施策に基づく各社の苦労が書かれていて、各社で独自指標や独自定義が乱立している状態が見受けられた。

今回の区分が変わることで、混乱している状態が「分かりやすい」ものに変わることが期待されます。また、同時に、当社で提供しているさまざまな財務系の研修の見直しも求められてくるのではないでしょうか。特に、財務会計を学ぶ「パースペクティブ」への影響は多そうで、今後、楽しくなりそうだなと感じています。

「損益計算書3区分に刷新 国際会計基準、27年度強制適用」日本経済新聞2024年7月11日の記事

『企業価値向上のための経営指標大全 大津広一 ダイヤモンド社 2022』

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