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開発を中止したツール「AI課長」の話【温故知新PJT】

先日、丸亀製麺、面談相手はAIという日経新聞の鬼頭めぐみさんの記事を見ました。博報堂が開発した「ボボまるくん*」という生成AIが3万人の従業員の面談の相手になるのだそうです。この結果は、個人別レポートとしてまとめられたり、職場ごとの傾向分析もできるそうで、リアルなエンゲージメントサーベイとしての活用ができそうです。エンゲージメントの向上は、顧客満足にもつながっていきます。*博報堂が開発したAIシステム「ボボットウ」×丸亀でボボまるくんなのだと思います。

この記事を読んだときに、「ずっとも」という新規事業を2018年から2年間行っていた際に、早期からアイデアが出ていたものに「AI課長」を思い出しました。着想したのはインターン生を大勢採用し始めていた2016年末ころで、私自身のマネジメントにおける困難を解決するために作ろうとしたものです。

上司はチェッカーでなありません。セルフチェックすれば誰にでも分かるようなことに対して、何度も同じような指摘をすることで人間関係が損なわれる問題が根深く、本質的な価値を向上させるフィードバック以前の問題でとどまっていたのです。

質の低いアウトプットを見せられるマネジャーの苦悩は底知れぬものがあります。昭和、いや平成の時代のように質が低いからといって、資料をそのままゴミ箱に投げ入れたり、紙飛行機にして飛ばしたり、罵声を浴びせたりといった、私がされてきたようなことは今どきはハラスメントそのものですので絶対にできません。更には、そうしたものを見ても、「良い点」にフィードバックしなければエンゲージメントが下がってしまいます。

なので、メンバーが上司にもっていく前に、チェックポイントをカード化して、それを使って、磨きをかけてから上司に声をかけることで、上司は何度も声を掛けられることで集中が阻害されることがなくなり、質の低いアウトプットにげんなりすることがなくなり、質が良いアウトプットを更に磨き上げるアイデアを提案できるようになります。メンバーは、指摘が減ることで、健やかに仕事ができ、高い価値を生むことの意味が分かり、貢献実感が得られるようになります。

この機能をAI課長というツールに代替してもらうことを考えていたのです。ただ、カード化するためには、TIPSの洗い出しと整理等が必要ですが、当時、大量の開発プロジェクトを抱えた中では後回しになり、そのままコロナ禍に突入してしまいました。

ここでやりたかったことが昨今生成AIによって、実現できるようになってしまいました。まず、メール文や企画書の確認であれば、ChatGPTに投げ込んで、プロンプトを入れたら十分にできてしまいます。(さらには、質を高めるためのアドバイスももらえるようになっています。)

なので、「AI課長」は現代には優先度を上げる必要がないという判断をせざるを得ず、開発は中止となりました。アナログであることが面白いツールだと思っていたのですが重要度が下がってしまったんですね。ただ、こちらはゲームとしてもできるようになっていて、そのルールは注目すべき点があります。具体的には、「チェックリスト」をゲームのルールに組み込んだものですが、このルールをいつか転用して新規のゲームを作りたいと考えています。

丸亀製麺の面談相手はAI 3万人の店舗従業員らと接点(日経新聞2024年8月26日記事)

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