同じ場を共有すれば仲良くなれる、チームビルディングできる、というようなお話をよく聞きます。当社は、ゲームを扱っている関係でそうした話を耳にする頻度が多くの皆様より多いのではないかと思います。
最近、「謎解きゲームをやらせたけどうまくいかなかった」という話を数件続けて聞きました。つまり、仲良くなる効果が得られなかったということでしょう。
謎解きゲームのそのものは非常に面白いエンターテイメントですし、一部の層のニーズをがっちりとらえて離さない魅力のあるものです。そうしたゲームのすべてを体験したわけではありませんが、当社のゲームにしても、「多くのゲームには初対面の人を仲良くさせる効果はない」と断言します。
ゲームには、チームビルディング効果があります。ただ、それは既存の関係を増幅するための触媒であって、そもそも人間関係のないところにゲームをやっても仲良くなることはないでしょう。
過去に、仲の良い友人に誘われて謎解きゲームに参加したことがあります。その際に、親しい友人の友人も参加していました。仮に、Aさんとしましょう。楽しい体験を一緒にすれば仲良くなれるというのであれば、Aさんとも仲良くなれているはずです。ただ、仲良くはなれませんでした。
同じ設定で、Bさんともイベントに参加しました。そのときは、事前に彼のプロファイルを理解していて、さらに後にも飲みに行ったりということをしました。Bさんとは今でもやり取りをする間柄です。
ゲームに限らず、「場」というのは、もともとあった関係を強化する増幅器のようなものであり、また、場を共有することでそのあとに続く場をより豊かにする触媒のようなものなのです。
顔や個性をしっている学友だから文化祭が盛り上がる。日々の仕事ぶりを見ている同僚だから、飲み会が盛り上がる。そういうものです。
先日、私たちは、この「ゲームをすればすべてうまくいく」というような魔法の杖症候群を徹底的に否定できるツールとして、Quizupというクイズを用いて、同僚のプロファイルを把握できるツールを開発しました。
職場という概念が希薄化した昨今、ライン外の斜めの関係が消え、他部門との関係も消え、ライン内での雑談も消えました。そうした中で、集めてゲームをしても、学習はできるかもしれませんが、「人間関係の問題」は解決しません。
まずは、他者を知る、他者に興味を持つという原点から着手してみてはいかがでしょうか。
公開日: 2021年11月9日