情報補完ツールの開発背景(後) | ビジネスゲーム研修で人材育成を内製化 | カレイドソリューションズ

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情報補完ツールの開発背景(後)

衛生要因的なモレは見つけやすい

ビジネスフレームワークを当てはめようとして失敗した経験を持つビジネスパーソンは多いだろう。その理由の一つは、ビジネスフレームワークが範囲を広げる機能を持つからなのではないか。適用方法によって衛生要因的なモレ発見にもつながれば、動機づけ要因的なモレ発見にもつながる。

このため、ビジネスフレームワークを機械的に適用するだけでは「衛生要因的モレ」が残ったまま、範囲が広がって収集がつかなくなることがある。

まずは、衛生要因的なモレの発見について説明したい。「衛生要因的モレ」の発見は、「もしかしたらモレがあるかも」という「不足があるかもしれない」意識があれば簡単だ。それさえあれば既存のフレームワークが頭に入れて「読み替え」を行えば、適用しやすい。なお、本作では、「読み替え」の訓練として「ザ・フレームワーカー」で登場したものとしないものの中から、考えれば分かる程度のフレームワークを採用している。

動機づけ要因的なモレを見つけるには「メタ」視点が必要

「動機づけ要因的なモレ」の発見は、少し込み入っている。上述した範囲全体を「フレームワークの1要素」として捉えるメタな視点が必要だからだ。「範囲」という概念は、フラクタルである。定めた範囲を細分化して、そこを新たな範囲と定めると、範囲が狭くなる。逆に、定めた範囲を大きな範囲の一部と考えれば、「動機づけ要因的なモレ」の発見は、高い視座・広い視野で物事を見つめているため、満足を得られることが多い。

動機づけ要因的なモレ発見の難所は、範囲が定まっていない状態をメタに見て整理することだ。ここでは水平思考が重要になる。既存のフレームワークの知識の引き出しから適用するのではなく、創造的な活動である。

例えば、「山」で考えてみよう。「山」に対して「川」「風林火」「谷」の何を思い浮かべても正解だ。あくまでも「このように捉えました」という認知の話である。

余談だが、「不足の発見」に常に価値があるとは限らないのが悩ましい。ときには単に仕事を増やすことにもつながる点には注意が必要だ。

モレは知覚で発見できるようになる-研修の事例から-

モレを発見する訓練には意味がある。例えば、コンサルタントは、モレがある前提で思考する訓練をしている。それを繰り返すことで思考習慣ができあがり、モレという「思考の盲点」を知覚できる。

本作は、リリース前にプロトタイプを2度実地で試した。4月の新入社員研修で使用した結果、「意識」が変容し、モレを知覚でき、その後に続く研修全般で、「モレ」を意識したアウトプットが出るようになった。特に、ロジカルシンキング研修で行う構造化のワークで成果を創出できたことが、本作が行う「思考の訓練」の意味を実感する良い機会になった。

ただ、こうした訓練の機会は多くない。本作は、事実を観察して、具体的な事柄を読み替え、意味のある弁別を行い、不足に気づく訓練のために開発しされている。

最後に、一点、補足をしたい。ロジカルシンキングを学ぶと、MECEやそれを用いたロジックツリーなどの説明で、不足の発見のメリットが数多く語られる。それらの多くには同意できる。ただ、ロジカルシンキングを学んだ多くの人は、論理的正しさを追求するあまり、成果に直結しない無駄な思考をすることがある。ロジカルシンキングは手段であり、当事者間で理解が得られているものに対して、それ以上の論理的正しさを突き詰めてほじくり返すゴールドプレーティングはムダなのである。

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