目標設定学習ツールの開発背景(前) | ビジネスゲーム研修で人材育成を内製化 | カレイドソリューションズ

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目標設定学習ツールの開発背景(前)

御社では「目標設定の仕方」は定義されているか

「目標」という言葉が登場する研修を数々見てきたし、自分でも作ってきた。「正しい目標設定の仕方」くらい、どこかの研修で扱われているだろうと思い、記憶を掘り返し、また様々な文献やネットの解説を参照した。ただ、「これだ!」というものは見つからなかった。

みなさんも様々な研修で目標という言葉を目にするだろう。代表的なのは目標管理だろうが、他にもある。問題解決やコーチング、部下指導、更にはPDCAや段取りでも目標という言葉が登場する。人材開発の仕事でもインストラクショナルデザインを行えば「学習目標」を設定するし、経営の会議でも「会社の目標」を日々目にする。

さて、御社では、研修ごとに「目標」という言葉が異なる意味で用いられていないだろうか。これだけ多くの研修で「目標」という言葉が登場するだけでなく、毎日の小さな仕事にも目標が存在する。目標と接しない日はないに等しい。ということは、「目標」という概念は極めて重要だ。にも関わらず、その定義や設定のための方法論は異なっている。ここを整理することは、私にとって大きなチャレンジだ。絶対的な正解としては賛否両論あろうがあえて先人の整理した「目標」に関する枠組みの再構築を試みる。

「目標」を考える上での超基本

目標を書くというと、目標を学んでいない人は、「取り組む」「尽力する」「推進する」「努力する」を挙げる。これらは、抱負・意気込みの表明に過ぎず、目標とは言えない。

目標を考える際には、まず「目標」の性質を知る必要がある。目標とは、到達状態もしくは到達点である。よって、目標は状態-やや狭くすると点-を表す言葉で書かれ、「~ている」形で表現されるのが原則だ。ところが、これが意外にも見落とされる。目標設定時には、「常に到達状態を書きましょう」と注意書きを入れたいくらいだ。これはどんな目標でも変わらない。行動目標でも、「目標」である以上、行動した結果、どのような「状態」になるかを記載する。行動を書くのではない。

また、明確化の観点は「範囲・基準・程度・期限」だ。これらがない、もしくは不明確な状態だと良い目標ではない。ただ、当たり前のことであるが、明確化されるほど、矮小になる傾向があるので、その点には注意し、随時見直す必要がある。

「範囲・基準・程度・期限」と列記すると、用語の定義でもやっとする人もいるだろう。、まず、「ざっくりした目標」を明確にするプロセスを通じて、理解していただきたい。

「勉強を頑張る」という目標はツッコミだらけ!?

子供が「勉強を頑張る」と言ったとしよう。「勉強を頑張る」は、子供は目標だと思っているかもしれないが目標ではない。親の期待を鑑み、自分の意志も入れて「勉強する」と言っているから、スローガンとしては悪くない。ただ、意気込み・抱負の表明に過ぎないため「頑張る」は目標ではない。

このスローガンにはツッコミどころだらけだ。このツッコミどころこそが今回の研修で扱う範囲なので、良く理解してほしい。こうしたスローガンという目標の原石を目標に変換していくことが良い目標の設定につながる。では、細かく見ていこう。

範囲とは何か

まず、「勉強を頑張る」と聞いた親は、「何の勉強を頑張るんだ」と聞きたくなる。これは範囲の質問だ。範囲を確認すれば、「高1の数学の復習を頑張るよ」と範囲が明確になる。

ここで、範囲を解説したい。目標設定では自他の認識している範囲の「握り」がずれてはいけない。範囲とは英語でrangeである。つまり何をするか(what)のレンジを決めることだ。主語や目的語を問う際にwhatを用いるが、通常主語は自明なので、目標設定では、目的語を明確にするのだと考えてほしい。例えば、勉強とは何(what)かだ。

例えば、勉強であれば、どんな勉強でも良いはずがない。「学校の勉強」と「学校」に絞ったり、「高1の数学の復習」に範囲をより狭めなければならない。こうしないと、「しました」「やってないだろ」と押し問答になる。「勉強してるよ!」「何の勉強だ!」「マンガの勉強だよ!」といわれても、「勉強」が未定義だったら、「認識の齟齬」で、親には未達でも子供には達成という困った状況が生まれる。これではいけない。なので、「勉強」を「高1の数学の復習」と絞るし、「ドリルを5問」であれば「高1の数学のドリルを5問」とすべきだ。これを「範囲の明確化」という。「ドリルを5問」よりも「高1の数学のドリルを5問」が明確だろう。

ときには、「そのために」を加えて、「高1の数学のドリルを5問完了するために朝6時に起きる」と書くこともあるが、ドリルの完了と起床のどちらを達成するかがわかりにくくなるので、分けることが望ましい。

ちなみに、範囲には類語に「スコープ」があるが、PMBOKでは範囲より意味の広い言葉の使い方をしているので、今回は対象としなかった。

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