研修用のゲームというと、カードゲームやボードゲームをイメージする人が多いだろうが、実は「クイズ」にもゲーム性がある。単体で何かができないこともあり、当社は研修の一部で取り入れるのみであるが、実は使用頻度は比較的多い。先日紹介した「インシデントプロセス法」も広義のクイズといえなくもない。
クイズの類型
クイズにも類型がある。これは書いたことがなかったのだが、クイズの手法で動機づける取り組みを行ったので整理しておこう。
まず、クイズの類型だが、
- 選択
- 記述
- マルバツ
- 質問
の4つがある。
クイズを組み合わせるとゲーム性が生まれる
クイズそのものは知識を問うものが多く、楽しみの中心は的中にある。単体では「ゲーム」と感じにくいかもしれない。これを複数組み合わせることでゲーム性が出てくる。今も放送されているのかは知らないが、クイズ番組において、「はらたいらさんに三千点」といったものや、「スーパーひとしくん」といったものは単体のクイズを複数組み合わせることでゲーム性を持たせるためのゲーミフィケーション的工夫だと言える。また、こうしたクイズは一人で考えると、さほど面白みがない。集団で「どっちが正解なのか」と考えることでディスカッションを通じた多面的な視点が生まれるのである。
謎解きゲームをクイズの組み合わせで作ることもできる
よって、クイズをうまく用いることで、ディスカッション・動機づけ・知識付与ができる上に、誰にとってもルールが理解しやすいという点で効果性の高い手法だと考えている。昨今、暗記ツールは多いが、そこに参加者間のインタラクションがないためにうまくいかない事例を見るに、研修における「ディスカッション」の効果を改めて実感しているし、それをうまくパッケージにしたものが「謎解きゲーム」である。謎解きゲームは、クイズを集団でディスカッションしながら行うのと類似している。これが活況であることからもクイズの有用性が分かるだろう。
類型による使い方の違い
さて、クイズには類型があるが、用途によって類型の使い方は異なる。事実を伝える場合は、選択式やマルバツ式が適している。一方、解釈を考える場合は、記述式や質問式が適している。事実とは、例えば、社名や業種、製品に関するものだ。名称や数字などが多いかもしれない。解釈とは例えば製品の用途や実務で実際に行われている事例、意識といったものになるだろう。例えば、○○とは何のことかといったものや、○○さんは○○を使って、どうやって問題を解決したか、といったものになる。
一番わかりにくいのは、質問式だろうか。質問式では、参加者は講師に質問をして構わない。それに対して2つの応対パターンがある。まずは、デジタル方式と私が読んでいるもので、はい・いいえ・わかりませんの3つで答えるものだ。もう一つは私がアナログ方式と呼んでいるもので、その質問に対しては端的に回答するといったものだ。ちなみに、先日紹介した「インシデントプロセス法」はこの「アナログ方式」に属す。
こうした様々なクイズの手法を組み合わせることも、研修設計において参加者のエンゲージメントを高める上での一つのノウハウとなっている。
公開日: 2018年12月23日