昨年、新規事業の研修の定期購読を開始してから早くも一年が経ち、振り返るとそのことばかりに注力していたため、それ以外の活動についての発信が弱くなっていたと感じる。書いたコラムを見ると、新規事業だけをやっている会社かのようだ。
だからというわけではないが、年末の振り返りも兼ねて、いくつかコラムを書きたい。きっとカレイドソリューションズの少し異なる一面を見ていただけると思う。
当社の特徴は「ゲーム研修」だが「ゲーム研修の会社」ではない
まず、はじめに伝えたいこととしては、当社は研修内製化の会社であり、ゲーム研修の会社だというわけではないことだ。
研修は、多くの場合、講義とワークと振り返りで構成される。その中のワークの一形態がゲームであるに過ぎず、ゲームは当社の「特徴」ではあるが、事業そのものではない。
それはつまりどういうことかというと、講義・ワーク・振り返りの全体の設計が当社のサービスの強さの源泉だということでもある。なので、ゲームの開発・ブラッシュアップばかりやっているように外部には見えているかもしれないが、実は果てしない講義部分の開発も行っているのが当社である。
具体的に例を挙げると、当社の財務研修「パースペクティブ」は、財務会計の講義とゲームと振り返りで提供されている。そして、それらが相乗効果を生み出すことで、ビジネススクールよりも大学の講義よりも遥かにわかりやすいと言われる研修を作り上げているわけだ。
ゲームではない講義スライドに多くの時間を投資している
裏を返せば、ここへの投入時間が大きいために、当社の既存事業ではなかなか新作を発売できないという実態がある。一方で、新規事業で数々のゲームを量産できるのは、プロトタイプがあるということと同時に、講義部分の作成に稼動を取られなくても良いということがある。それほどに、講義部分の作成の負荷は大きい。
更には、ゲームを用いない研修も当社では多々保有しているというと意外だろうか。ゲームは手段の一つである。このため、手段として適切でない場合には、最も開発コストがかかり、実施時間も必要な研修手法といわれるゲームをあえて取り入れる合理的な理由はない。
そのようにして作られたコンテンツが当社には多々ある。例えば、財務分析がそれである。当社では上述のパースペクティブという財務会計を学ぶ研修を持っている。少しだけ紹介すると、これに参加することで、財務三表の用語を暗記し、意思決定がどのようにビジネスの結果に結びつくかがわずか1日でわかる。ただし、それ止まりである。どうしてかというと、理由は二点あり、私がこれまで研修は「1日間」という強いこだわりを持っていたことと、初学者に難しいことをやってもそこまで理解できないと考えていることがあった。
当社の財務会計研修は用途限定的!?
このため、パースペクティブをあえて自己批判すると、財務諸表を見て、何が書いてあるかがわかり、実感として日々の業務における小さな判断の積み上げが会社の業績を作ることはわかるのだが、その先にあるできあがった財務諸表から意味を見抜くところまでは到達できないのである。
ただ、それを補完するものとして、当社は「モジュール」という考え方を持ってサービス提供を行っている。実をいうと、当社の研修の講義部分はすべて「モジュール」だ。例えば、「あかんたぶる」の前に財務会計のモジュールのうち、損益計算書のモジュールをくっつけても研修が成立しないかといえば、成立するのである。これは、経営シミュレーション全般に言える「◎◎のフレーバーで経営を学ぶ」ということとつながりが深い。
財務分析モジュールが財務研修を補完する
こうしたモジュールの中に「財務分析モジュール」がある。財務分析は、できあがった財務諸表からその中にある構造に迫る活動だと考えている。上述のパースペクティブが意思決定から財務諸表という時間の流れにそった内容だとすると、財務分析は時間の流れを逆流するレトロスペクティブな活動だ。論理に詳しい人は、インダクション(帰納法)とアブダクション(仮説法)の関係にあるといえばわかりやすいだろうか。
このモジュールはかれこれ7年前にとある一部上場企業の通販の会社のコア人材向けの研修として開発した。いくつか導入例を挙げると、その後、とある一部上場企業の経営再建に活用され大きな成果を残したり、最近では京都の一部上場企業の次世代リーダープログラムとしてご活用頂いた実績があったりとなかなか歴史のあるモジュールである。もし、研修日数が2日間になっても財務分析までやってみたいようであれば是非お声掛けいただきたい。安全性・成長性/収益性・効率性などの概念を短時間でざっくり理解できるはずである。
先日、当社で初めて「合宿」を行った。中央本線の藤野という駅にある藤野芸術の家という施設を使い、若手に財務分析も含めた1.5日の研修を行った。ここで気づいた点としては、必ずしも1日にこだわる必要はなく、それを超えたとしても、受け手に学びたい、理解しようという姿勢があればきちんと伝わり、役に立つものと認識してもらえるということだ。
今期から、当社のサイトをリニューアルした。ここでは、こっそりゲーム以外のコンテンツというページを枠だけではあるが制作してある。来期は、このページをゆるりと拡充し、ゲームにとらわれない「マス」なニーズを満たせる研修をラーニングツールを活用して提供していけるようにしたいと思っている。
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公開日: 2018年12月21日