今日は、数年間のアンケートをぼんやりと眺めていて、思ったことをつらつらと書きます。
当社のコミュニケーション系の研修は、事例を見ながら反復訓練する形式のものがほとんどです。
その学習プロセスは、事例から教訓を抽出して自分の業務に適用する、まさに経験学習で進めます。
ただ、この経験学習ですが、一定の層には好まれないことがわかりました。どのような層かは明言は避けますが、層が分かる発言の典型例としては「事例が極端だ/ありえない」「事例が当社のものでない」といったものです。
人は何かを体験したら、それを振り返ることで経験に変えていきます。成長する人材とそうでない人材の境界線は、この振り返り習慣の有無です。しかし、上記の層はこの境界線を決して超えてきません。体験しただけで振り返らないのです。だから教訓化がなされない。教訓化されず、事例を事例のままとらえてしまう。それが分かる言葉が「事例が極端だ」なのです。
なぜ事例が極端かというと、その方が振り返りやすいからです。これが理解できないということは、例えば、ジョージ・オーウェルの動物農場を「へー、こんな農場があるんだ」と読むようなものではないかと思います。業務でも、強烈な個性の人と出会うと後からその人を薄めたような人にであったときに、1つのカテゴリで括れるようになります。これも1つの学習です。これができないというのはとても恐ろしいことで、日々の業務で振り返り、学ぶ習慣があれば、こうした発言にはならないはずなのです。つまり、実務でも学習スピードが遅そうです。
では、どうすれば良いのか。彼らにはどんな研修も効きません。なので「振り返るとはどういうことなのか」というあたりから徹底的にやったほうが良いのです。
公開日: 2017年7月11日