4月、新人教育をしている際に一つの発見がありました。
新人教育では「否定的な言葉は使わず、建設的な言葉を使う」ことが推奨されます。
建設的な言葉は行動につながります。行動すれば物事が前に進みますから建設的な言葉が好まれるのは当然です。
ビジネスパーソンの書く言葉は総じて「建設的」です。多くのドキュメントには「○○する」という言葉が並び、「○○しない」という言葉は少ないように思います。
一方で、ポジティブな言葉にはマイナスの作用もあるように感じます。それは、ポジティブな言葉は道徳的なものになりがちで言葉として刺さりにくいのです。
今、「刺さりにくい」と書きましたが、例えば、「ネガティブな言葉は刺さりやすい」と書く方が「否定的な言葉は使わず、建設的な言葉を使う」のルールには合致しています。ただ、二つを比べてみたときに、
- ネガティブな言葉は刺さりやすい
- ポジティブな言葉は刺さりにくい
と書いた場合、②の方が刺さりやすいという研修での実践知があります。
先般、コラムに書いた「ホウレンソウ」も然りです。
- やるべきこと
- やってはいけないこと
の二つがあった場合、②やってはいけないことの方が刺さりやすいのです。
これについて考えたときに、やってはいけないこと、言い換えると”Don’ts”の方が言葉として強い意味を持ち、やった場合の「リスク」が切迫感をもって伝えられます。逆にやるべきことというと、「うん、確かにやるべきだよね」と思いながらもやらなかった場合のリスクはイメージしにくくなっています。
「イメージ」する力には学力差があるように感じます。(学力という言葉が適切ではないかもしれません。その場合、ご指摘いただけると幸いです。)
「①やるべきこと」として、例えば「ホウレンソウはまとめて行う」とした場合に、学力の高い人は自然と言外の意味を見抜いて、「なるほど、まとめて行うことが推奨されているとするならば、あまり頻度の高いものは好まれないのか」と察することができます。
学力が低いと「なるほど、まとめて行うことが推奨されているとするならば、あまり頻度の高いものは好まれないのか」とは思わず、書かれたままに理解し、それ以上のことを洞察することはありません。
これらはまさに「一を知って十を知る」という言葉や「期待を超えた行動をする」と直結しているように思いました。
対象によって、言葉の使い方を変える必要もありますね。
公開日: 2016年5月13日