基本的にリプレイは前提としていない
当社のゲーム研修は反復訓練系のゲーム以外は、リプレイすることがないという前提で作っています。運の要素があったり、相手が異なればゲームの様相が異なることはありますが、研修ゲームは「意図的学習」ですので、「意図」が勝ち筋になっていることが多いです。このため、意図をきちんと理解すれば2度目はよいやり方でできますが答えがわかっているので面白いゲームにはならないでしょう。
複数回ゲームをさせたい2つの理由
「御社のゲームは同じ人が何回受けてもよいのですか?」という質問には背景があることが大半です。どうして複数回やらせたいのですかと問うと、2つの答えが返ってくることが多いです。1つは、異なる相手と繰り返しやらせることで錬度を高めたいというもの。もう1つは、できなかったものができるようになったという成功体験を積ませてすっきりして帰ってもらいたいというものです。
前者は、反復訓練系のビジネスゲームではとても良い使い方だと思います。当社のゲームでも、コミュニケーションを中心とした反復訓練系のゲームはそのように作っているのでリプレイが可能です。しかし、後者については少し難しいなぁと感じています。少し前に「ゲーム研修ってプレイフルラーニングなんですか?」にも書きましたが、ゲームというのは狭義のプレイフルラーニングで、勝ち負けを伴うことが大半です。
勝ち負けを伴うということはつまり勝つ人がいれば負ける人がいるということです。なので、一回目で失敗して二回目は必ず成功できるということはありえません。「よりよく」できて自信をつけることはできるかもしれませんが、勝って自信をつけることは難しいのです。
カイヨワによるゲームの定義
ロジェカイヨワは「遊びと人間」の中で、ゲームを
- 楽しみのために行なわれること
- 時間と場所が区切られていること
- 勝敗が不確定であること
- 何かを生産するものではないこと
- ルールに支配されること
- 現実の活動から意識的に切り離されていることをゲームの参加者が知っていること
と定義しています。
勝敗が不確定だからゲームは面白いし、「悔しさの価値」にも書いた通り、「負けて悔しい」から「頑張ろう」「もっと勉強しよう」という気になるのです。先般、当社の財務会計研修「パースペクティブ」を受けた参加者から「あの後、財務の本を読んでしまいました」という声をいただきました。
グリーンブラットによるゲームの効果
ゲームの研究者であるグリーンブラットは「ゲーミングシミュレーション作法」において、ゲームの効果として以下のものを挙げています。
- 動機づけと興味
- 認知的学習
- 後続学習の質的向上
- 情緒的学習
- 学習集団の構造的変化
その他の学習と比較してどの程度差があるのかは知りませんが、③の後続学習につなげるためにはやはり「悔しい」から「もっと学びたい」と感じさせることが大切だと思うんです。研修は、「ちょっと足らなくて後引き感がある」方が、記憶に残るのではないでしょうか。
公開日: 2014年8月1日