以前、「加えて新しいものを生み出す」というコラムの中でパラダイスの開発裏話を書きました。
当時、パラダイスは、採用選考の優秀層選抜という用途で販売されていたのですが、諸般の事情により研修用として販売をすることになりました。
後押しとなったのは、”Game×Learning×job”で研修向けという強い後押しがあったこと。そして、日本経済新聞に2012年1月16日に取り上げて頂いたことです。
「グローバル人材とは何か」については様々なところで議論がなされていると思いますが、これだというものには出会えていません。また、これからもずっとグローバルは何か、グローバル人材とは何者かという議論は続いていくと思います。それは、優秀人材とは何者かという議論と同じで、絶対の正解がないものだからだと思います。
このグローバル人材論には乗っかりたくないと思いながらも、少し書いてみたいと思います。
まずは、英語です。
以前、財務の件でコラムを書いたことがあるのですが、どのようなスキルも、「測定可能」なものに変換されると、魂が抜けてしまいます。経営感覚のための財務は、「簿記」の取得になると、魂が抜けてしまいます。
同じように、英語を通じたコミュニケーションは、TOEICとかいわれると途端に魂が抜けてしまいます。
英語はできて当たり前なので、それを教育してもグローバル人材を育成していることにはならないと思います。
では、違いを認める姿勢を持つことがグローバル人材育成なのかというとそれも違うと思います。
色々と考えたときに、
- きちんと前提を共有できること
- 既成概念に囚われない発言・発信ができること
- 一歩前に踏み出すこと、チャレンジすること
あたりがグローバル人材なのではないかと思う場面がありました。
こんなことを考えている時に、マネカレの木田さんが経団連の資料が面白いとつぶやいていました。その経団連の資料には、「既成概念に囚われず、チャレンジし続ける力」とありました。この言葉とパラダイスが密接に結びついてしまったのです。
パラダイスは、交渉を中心としたゲームなのですが、実はルールがやや曖昧な作りになっています。
決められたルールの中で遊ぶことに慣れた人にとってはこれだけでもとてもストレスです。次にルールを発見し、作り上げるという稼働のかかる作業、しかも他人を巻き込む。。。となると、かなりやりにくいようです。だからこそそれが良いと思いました。
そして、このゲームには勝ち負けがあります。
「負けたゲームとは駄目なゲームだ」
という有名な格言もあるとおり、負けた参加者はいいわけをしています。
本当に色々といいわけがでてきます。でも、このゲームをグローバル人材として実施する場合は、それは全部つぶしてしまうことにしています。(参加者相手のときだけです。人事さんにやるときはさすがにできないですが。)
「で、あなたは実生活で賭け事に負けて身ぐるみ剥がされたら、ルールが難しかったからお金返してくださいっていうのですか?」
厳しいようですが、これが厳しいグローバルの社会なんだよと思う時があります。ベンチャー経営も似たところがありますので、そんな経験をしているからかもしれません。私の中で、グローバル人材とサバイバル人材は結構近い概念だと思います。
「負けたあなたは今はグローバルじゃないところにいるから生きていられる。でも、グローバルになったら生きていけないよ、目を覚ましましょう。」
こういう研修をつくれたことで自分の研修ゲーム開発の一つの完成系が見えたと思っています。
公開日: 2012年9月12日