インターリスク総研で組織能力向上研究会が実施されています。
第七回の組織能力向上研究会は、ゲームデザインワークショップということで、講演等は滅多にやらない私ですが、登壇させていただきました。(インタ総研の齋藤さま、大豆生田さまありがとうございます。)
ゲームデザインというと、ゲームの作り方と思われがちですが、実は、ゲームをデザインする活動を通じて、「企画の立て方」「メンタルモデルの洗い出し」など、さまざまなことができます。更に裏のメッセージは「システム」の理解でした。ある意味、システムシンキングの言葉を使わないシステムシンキング研修だったといっても良いのではないかと思います。
まずは、ゲームデザインの作り手への効果、利用者への効果をあえて「難しく」お話しし、よくわからないという印象を持ってもらった上で、アイスブレイク「ムチャブレイク」を実施。
場が打ち解けたところで、
- ゲームとは
- ゲームデザインの前にそもそも「企画」とは
- ゲームデザインのプロセス
など、総論的な講義を行い、その後各論として、
- ニーズ発想:当社の開発事例
- シーズ発想:
- ゲーム理論の知見から
- アナログゲームの知見から
- 発想技法の知見から
を行いました。
ニーズはそこら中に落ちていてもシーズは中々ノウハウ化されていないのです。特に当社で隔週で開催されている「アナログゲーミング研究会」などで研究しているアナログゲームについての知見をシーズとして紹介するという部分は中々ないのではないかと思いました。
ゲーム理論の知見を使い、「将棋」のルールを作りかえるというワークをやってみました。1名将棋のルールをご存じない方がいたのが反省です。
続けて、当社の最も原始的なゲームである「コーヒーブレイク」を実施しました。実施後に、参加者に意味づけしてもらい、こちらから種明かしと開発裏話を公開するという仕立てです。
本ゲームを実施した後は、いよいよゲームのイメージももて、ゲームについての前提も整理できたので、実際にゲームを作るというところをやってみました。(といっても、一日で完成はできないので、企画部分のみですが。)
ワークは大きく二つ。
1つ目の「じゃんけんのルールをつくる」では、ルール作りのテンプレートを通じて、前提を洗い出すことを学習しました。一言も触れませんでしたが、メンタルモデルについてわかるワークです。じゃんけんのルールというとシンプルに見えますが、「同時」「片手」「あいこの処理」「手の形」など多くのものが抜け漏れてしまいます。10個のチェックポイントを作って、得点システムを付けて楽しめるようにしたててみました。
2つ目のワークは、自分の仕事をゲームにするワークです。自分の仕事をゲームとみたて、上記のルールのテンプレに従い、ゲーム化します。事前情報として、キオスクの店員の仕事をゲームに見立てた場合の「変数」と「制約」の考え方。運送会社の社員の仕事をゲームにした場合に、自分が見る範囲によってさまざまなシステムが動いていることを説明しました。
これによって、各自がスムーズに、自分の仕事の概要・勝利条件・終了条件・変数(意思決定項目)・制約・ジレンマ・インタラクションを考えることができていました。
自分の仕事の仕組みは、日常生活ではほとんど考えることがありません。ゲームにする際には、複雑な現実を思い切りよく削いでシンプルにします。その際に構造がすっきりし、今すべきことの見通しが良くなるのです。また、何よりアイデアを出す行為自体の楽しさが、参加者の満足を引き出してくれました。
最後に冒頭の分からない「システム」という話を再掲しました。ここでのみなさんの反応は、「なるほど」といううなづきでした。あの小難しい概念が分かってもらえて、とても嬉しいと思います。
最後は、メッセージをお伝えしました。簡単にいうと「ゲームを通じて人も組織も幸せに」ということです。
これは、大事なんですよね。「幸せ」。
何より、「研修として売れる」とおっしゃっていただいたことは私の「幸せ」かなと思います。また、機会があれば、よりブラッシュアップしたものを実施してみたいなと。
公開日: 2012年2月15日