教育ではなく、学習支援
多くの会社の人事の方とお話をさせていますが、こんなことを聞きます。
「結局、研修って意味ないんじゃないかと思うんだよね。」
「結局、会社が『これを学べ!』っていっても効果ないんだよね。」
実は弊社も同じ考え方を持っています。
実は、多くの会社で、研修とは、「教育」という物事を教え込む活動であるという認識が持たれています。
しかし、実は研修とは、個人の「学習」の支援を行う場なのではないかと思っています。
万人に効く研修はない
キャリア的に自律が求められている今、あらゆる人に求められている研修なんてほとんどありません。せいぜいマナー研修と仕事を進める上で最低限必要な技術系の研修くらいでしょう。
あとは本来個々人が自分で気付いて、不足しているなと思う部分を自分で補っていくものなんです。太っていない人にどれだけやせる方法論を教えても、本腰を入れて聞くはずもないのと同じです。しかも必要性を感じないことはあっという間に忘れ去られていきます。
研修の企画を行うときに、「誰に目線を合わせるか」は永遠のテーマです。学校も同じですが、上位の人は退屈し、下位の人は理解できないという構図は必ず発生します。なぜなら、何かを教え込もうとする「教育」は、分かるか分からないかに二分されるからです。
ビジネスゲームは「学習」の起爆剤!?
では、ビジネスゲームって一体なんなのでしょうか?
ビジネスゲームとは、参加者の気付きを埋め込んだ、「学習」の起爆剤だと考えます。ビジネスゲームの提案書には、多くの「目標」が書かれています。
しかし、これを「教育」に染まったパラダイムで読もうとすると、読み違えます。ビジネスゲームの目標は「参加者が気付くであろう項目」なのです。そして、成長の場は、むしろ研修後にあります。
参加者は十人十色、誰もが違う課題や問題意識を持っています。ビジネスゲームを行うと、それぞれが違うことに気付くのです。例えば、弊社の扱う「ファクトリー」(2011/4販売を終了しました。)では、大概の人は「品質やコンプライアンスの重要性」に気付きますが、他にも「部門間共有の重要性」に気付いたり、「営業の楽しさ」に気付いたり、「市場は常に変化している」ことに気付いたりと、人それぞれ全くばらばらの気付きを獲得します。
この意味で、ビジネスゲームは誰にでも適しているのです。
もちろん、性質上、何かを覚えこませるのには向きませんが、自分の「学習」に何が足りず、何の学習が有効か気付かせる手段となります。何より楽しいですし。
あとは、気付いた本人が自発的に書籍で勉強したり、公開コースに参加してくれればよいのです。人事の手間はかかりません。これからの人事の行う研修とは、こういった場の提供に徐々にシフトしてきています。
ところが、まだ冒頭に述べたように、なんとなくおかしさに気付いてきているけれども、明確な答えが持てていないクライアントは沢山いらっしゃいます。
弊社がビジネスゲームという素材を紹介することで、このようなクライアントに何かしらの解決策が提供できれば嬉しいことです。
—–2019/5/2追記—–
本コラムは創業前に書かれたものです。「学習の起爆剤」としてのゲーム研修、特に上記の文脈では「経営シミュレーション研修」は、内製であれば高い効果を発揮すると今でも思っております。一方、学習の起爆剤として継続的に実施しているお客様は、総じて内製での実施です。ファシリテーター外注を行う場合、投資に資する効果はないと考えています。
公開日: 2007年12月14日