社員の中から研修を受けるメンバーを募るとき誰を選ぶべきかという質問を受けることがよくあります。
よく年次別研修というのが実施されています。年次別研修というのは、以下のようなパラダイムに縛られていると感じます。
- 同じような年次ならば同じようなレベルだろう
- 同じようなレベルなら教えやすい
これについて、以前から漠然と何か違うのではないかと感じていました。
ちょっとこの疑問に対しての面白い解になる書籍を見つけたので、引用します。
「同質な人間を集めたほうが効果が上がる」という誤解
教育する相手方をなるべく同質化したほうが、教育上の効果が上がるという考え方について、違う見方もできるということを指摘しよう。
試験をして、ある偏差値以下の成績の子を足切りし同質な集団を形成したほうが教育はしやすい。
これはいうまでもないだろう。
ある知識を伝えたときに、レベルが一定なら理解の度合いも同じ程度だと考えられるからだ。大人になってからの教育、特に英会話スクールやビジネススクールなどでも同じ。クラスに集う仲間が同じ能力レベルの場合は圧倒的に教えやすいはずだ。
しかし、ここであがるのは、教育の「品質(クオリティ)」ではない。
上がるとすれば、教育の「量的な効率」である。
つまり、ある知識の定着を図る場合、同質集団のほうが早く効率的に伝えられるということ。知識の定着のスピードが上がる。それだけのことだと思う。
では、教育の「品質(クオリティ)」についてはどうか。
より深い思考や豊かな学びは達成されるのか?
藤原和弘:公教育の未来
これは学校教育の話ですけれども、企業内教育を考える上でも非常に面白い話でした。
最近、研修における「気付き」が重要視されています。
知識インプットではなく、気付くためにいろいろな手法があり、当社が扱うビジネスシミューションなんかもその手法の一つです。
気付きを重視するならば、メンバーが画一的(=年次別)なことはむしろ研修の効果を下げているのではないでしょうか。
研修というものの構成要素として、講師・プログラムと同じくらい重要なのが参加者。
研修の目的が「気付き」であるならば、この視点は忘れないでいたいものです。
公開日: 2007年11月16日