研修名は学習内容・効果・対象・手法のコンビネーションで決まる
研修の名称をどのように決めるかについて、2015年のイベントで少しお話をした。とんでもなくくだらないエントリかもしれないが、同じような名称が列記されていた際に、区別する一助となるかもしれないと思い、一旦当時の考えをそのままに書き散らしたい。
研修名は、例えば「●年目●●研修-サブタイトル」のような形式で記述されることが多い。ここでは、こうしたものを分解し、
- 学習内容
- 効果
- 対象
- 手法
という枠組みで説明し、そのコンビネーションが研修名になっていることを説明したい。
ロジカルシンキング研修はどのような記述か
ロジカルシンキング研修といったときに、「ロジカルシンキング」とは学習内容のことを指している。つまり、この名付けにおいては学習内容を明示したいという意図がある。おそらく「何を学ぶか」という視点は参加者目線では最もわかりやすい名称だろう。
営業スキルアップ研修とはどのような記述か
営業スキルアップ研修といったときに、「営業スキルアップ」とは、学習効果を指している。※厳密には、営業スキルのアップなのか営業のスキルアップなのかが判然としないが、当時のままなのでご容赦いただきたい。この名付けでは、学習内容ではなく、学習効果を書いている。この形式だと、何を学ぶかはわからないが、とりあえず営業スキルがアップするのだろうということが分かる。その点で、比較的わかりやすい名称だろう。
3年目研修とはどのような記述か
3年目研修や営業研修、新入社員研修といったときに、「3年目」とは対象の属性を指している。なので、参加者にとっては、「自分が対象である」ことは分かる一方、その中身も効果もわからない。この点で、提供者目線の区分のための名付けであると言える。これがより顕著になると、「M06研修」といったものが生まれる。
ビジネスゲーム研修とはどのような記述か
ビジネスゲーム研修といったときに、「ビジネスゲーム」とは、手法を指している。これは非常に悩ましい。ビジネスゲームは手法である。なので、「講義」「ワーク」「グループディスカッション」も手法だから「講義型研修」「ワーク型研修」「グループディスカッション研修」といっているのと変わらない。つまり、さっぱり中身がわからないのである。
研修名はコンビネーションで記述される
上記のうち、はじめの2つはコンテンツが変われば当然名称は変わる。しかし、後ろの2つはコンテンツが変わっても名称は変わらない。
なので、コンビネーションで記述される。ときにはサブタイトルをつけることもある。例えば、
-「あなたの話はよく分かる!」と評価される-5年目営業の財務会計研修
などは顕著な例だろう。
分解すると、
・5年目営業(対象)
・財務会計(学習内容)
・あなたの話はよく分かると評価される(効果)
となる。
手法は研修名としてふさわしくない
これを見て分かる通り、ここに「手法」は記述されていない。あえて「講義型」とは書かないだろう。
一方で、「ビジネスゲーム研修」「ゲーム型」といった名称は比較的よく目にする。これに対象を付加して「2年目ビジネスゲーム研修」といった形だ。これは、何か言っているようであるが、対象と手法を言っているだけで、研修の中身について何も言っていない。
なぜ手法名を研修名にするか
手法名が研修名に採用される理由には2パターンある。
まず、一つはマーケティング的な観点である。特に手挙げ式の研修の場合、参加者が集まる必要がある。このため、目立つもの、バズワードなどを並べる傾向がある。その一つに手法がある場合だ。もちろん、これは本質的ではない。必要がない限り避ける方が無難だろう。
もうひとつは、最もクリティカルなのだが「手法はわかっているが、効果も学習内容もわかっていない」というパターンである。
ビジネスゲームは、手法が目立つが故に、何を学ぶのか、何の効果があるのかわからずに導入されることがある。もし、研修名をつけようとしたときに「手法」しか思いつかないようであれば、本当にそのゲーム研修を導入すべきかを再検討すると良い。
いつもいう言葉を繰り返すと「よく考えられていないゲーム研修の学習目標には、どのゲームでも学べることしか書いていない」のである。
研修名は、研修の内容を端的に表す参加者目線のものであってほしい。わたしたちの仕事と引き寄せると、ゲームで学ぶ「学習内容」と「効果」を整理すると研修名も変わってくるだろう。
公開日: 2019年6月15日