ホウレンソウの定義とは?
ホウレンソウ(報告・連絡・相談)を教えている会社は多いだろう。
- 報告:命令や指示に結果や経過を伝える
- 連絡:情報を内容のままに相手へ共有する
- 相談:他者の意見やアドバイスをもらう
ホウレンソウは、基本的にホウレンソウする側から「誰か」への働き方であり、「発信」を目的・内容・対象で3種類に分けており、フレームワークと言うには少々ごちゃついている。ただ、もはや人口に膾炙した表現なので、これにとやかくいっても仕方ない。一旦は脇においておこう。
私がこのコラムを書こうと思ったのは、ホウレンソウを行う目的がホウレンソウだけでは実現できないと感じたからだ。
ホウレンソウのゴールは委任と受任の齟齬をなくすこと
仕事は、仕事の委任と、その受任によって成り立つ。委任するのは、顧客の場合もあれば上司の場合もあるだろう。
委任に対する受任者の義務には、以下の項目がある。
委任事務処理義務
- 善管注意義務
- 自ら事務を処理する義務
付随的義務
- 報告義務
- 受取物等引渡義務
- 取得権利移転義務
この中で、ホウレンソウの機能は「報告義務」の一部にあたるが、これだけでは、委任・受任の関係は完結しない。「委任」は法律用語にもあり、きちんと整理されているので、調べてみてほしい。
重要なのは「ゴールセッティング」
実は委任事務処理を行うには、当たり前すぎるのだが、「自ら」事務を処理できなければならない。あくまでもホウレンソウは「付随的」なのである。
付随的だからこそ疎かにされ、その結果教わると言えなくもない。しかし、差分だけを教えてしまって、本丸を教えないことがある。ホウレンソウはまさにこれだ。
受任者である部下は、委任された仕事を遂行するために、本丸である「段取り」を立てる必要がある。
弊社では「段取りチキン」というツールがあるが、仕事の優先順位付けをしたあとに一番に行うのは、タスクの明確化、特に「ゴールセッティング」である。
そして、ゴールは自分でするものではない。自分だけで決められないからこそ、ホウレンソウが必要になる。「ホウレンソウ」という大きなラベルで語られがちだが、最も重要なことは「合意」である。
つまり、自分が委任された仕事がどうすれば完遂といえるのかの設定と合意である。この合意のことを当社では「握り」と呼んでいる。
ゴールセッテイングで必要な4観点
このゴールの確認は、できそうでできない。ゴールや目標設定のハウツーを教わったことがある社員は少ないからだ。
当社では、4つの観点で確認するようにしている。
- 範囲
- 基準
- 程度
- 期限
であり、当社のビジネスゲームコンテンツ「13Goals」の学習内容である。
(興味があれば体験してみてほしい)
相手から仕事が委任された際にこの4観点を確認できているかが、期待する成果物がでてくることの前提となる。
これがなければ、どれだけホウレンソウをやっていても的はずれな報告・相談になり、上司も等しくゴールセッティングができなければ、あらゆる仕事はすべて炎上プロジェクトになるだろう。
ホウレンソウを学ぶことは多いが、ゴールセッティングを学ぶ機会は少ない。こうしたものこそ、学習の本丸なことが多いのである。
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公開日: 2019年6月10日