「お一人さま」研修を開発した背景を書いてみる | ビジネスゲーム研修で人材育成を内製化 | カレイドソリューションズ

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COLUMN

「お一人さま」研修を開発した背景を書いてみる

お客さま現象を解決したら表れた問題とは?

グループワーク全般に言われる問題点として、「お客さま現象」とそれと対をなす「奉行問題」があります。お客さま現象は、グループワーク参加時に、まるで当事者ではないお客さまのように振る舞う現象(注:私の造語)です。また、奉行問題とは、特定の1名が過度に主導権を抱きしめた結果、その他の参加者がお客さんになってしまう現象です。

この問題については、当社は創業して間もないころに気づき、これまで「ジグソーメソッド」を援用して対処をおこなってきました。ジグソーメソッドは、情報が分散されているものを統合しないと全体像が見えない「ジグソーパズル」から来ているものです。グループワークにおいて情報を分散することで、全員がかかわらないと全体像が見えないようにします。これは、「エコーズ」や「シンセサイザー」にて導入し、一定の成功を収めました。

じわじわと場を仕切る「奉行」とは?

ただ、どんな問題も解決すると次の問題が現れるのが常です。ジグソーメソッドにも欠点はあり、情報を統合し、全体像が見えてしまうまでは十分にこのメソッドは機能するのですが、以降は全体像が見えてしまうため、「奉行」がじわじわと頭角をあらわしてくるのです。この問題については、かなり長く頭を悩ませていたのですが、ゲームが進む毎に各役割に新情報を与えるような「煩雑で」「唐突な」「目先の」解決策は思いつくものの、それ以上踏み込めずにおりました。

奉行問題を解決できる「ソロゲーム」

それに対して、2012年に光明が見えました。それは、「ソロゲーム」という考え方です。ソロゲームとは、1人でやるゲームです。これ、この言葉だけ聞くと、「えっ、折角研修に来てるのに、1人でゲームさせるの!?」「なにそれ、キモい」など色々な批判がありそうですので、少し前提情報を書きます。

まず、ビジネスゲームのそもそもの目的は、「経営を疑似体験させる」ことにあるという意見が大勢を占めます。しかし、ここにも問題があり、「経営を1度疑似体験しただけで経営ができるようになるのか?」とか「ゲームでは勝者は1名しかいないから大半が敗者になる。ゲーム研修で成功体験は積めないのか?」などがあります。こうした声に対応するものとして、著名なマネジメントゲームのように日にちを改めて異なる参加者と「何度もやる」というニーズがあるわけです。ただ、これも同じような問題があり、同じ内容の研修で同じ人を何度も集めることが研修予算の関係で果たして可能なのかという問題です。

これについてビジネスゲームを提供する業者は「経営はそんなに簡単なものではないので、何日もかけるのが当然なのだ」というポジショントークをするのでしょうが、本当にそうなのかなぁと思っています。こうしたゲームはルールが複雑で難しいこともあり、「ルール説明で半日かかる」こともあるそうです。だからこそ、投資時間を回収するために何度もする必要があるのかもしれません。

「ソロゲーム」なら何度もできる

ここまでを前提とし、考えたのが、「時間軸をうまく使う」ことでした。まず、経営シミュレーションは時間が長いから1日間だと1回しかできないことがあります。時間が長いのは、集団での合意形成が難しいからです。であれば、集団でやらなければいいじゃないかという発想をしました。ただ、それだと1回目のルールがよく理解できない人がでてきます。このため、ゲーム時間を集団でも短時間でできるようにし、まず一回やってみる。そして、その後、ルール間違いがないかを相互監視(株主という設定です。)でもう一度やってみる。そして、残りの時間は時間が許す限りソロゲームを繰り返すことで、「わずか1日でも豊富に経営体験が積める」を実現できたわけです。

これ、結構すごいことで、これまでに書いた

  • 「お客さま現象」
  • 奉行問題
  • 「経営を1度疑似体験しただけで経営ができるようになるのか?」
  • 「ゲームでは勝者は1名しかいないから大半が敗者になる。ゲーム研修で成功体験は積めないのか?」

が全部クリアになっているんですよね。(※「なにそれキモい」については主観的なものですので、コメントを差し控えさせていただきます。)

これを盛り込んだのが「あかんたぶる」というビジネスゲームなのですが、こうした問題意識の高い会社さんに好まれるためか、リリースして僅か1年で想像以上に市場に受け容れられてきています。(正直、私は市場に受け入れられるかかは半信半疑でした。)

今回は、デザイナーズノート的なエントリでしたが、またこうしたものも書いてみたいと思います。

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