一昨日、NPO法人人材育成マネジメント研究会(2015年5月に改組し、現在は学習分析学会)の堤宇一先生のセミナーに参加してきました。
私は2006年ごろにインストラクショナルデザインを知り、開発や企画にその考え方を活用してきました。実は、当社には「当社の研修にゲーミフィケーションをいれたいんです!」というお問い合わせが殺到していた時期がありますが、そのお問い合わせの大半に対するアドバイスは、「まずはインストラクショナルデザインをやりましょう。ゲーミフィケーションはそれからです。」というものでした。
それほどインストラクショナルデザインは基本でありながら、知られていません。学べば一歩先んじることができるノウハウだと思いますので、ざっくり概要を記載いたします。
■インストラクショナルデザインの定義
インストラクショナルデザイン(ID)は、研修の効果・効率・魅力を高めるための方法論。偶発的でなく「意図的」に学習効果を上げることを指します。
⇒高橋:偶発的でないというのがポイントです。
■インストラクショナルデザインのプロセス
ADDIEモデルという有名なモデルに沿って行われます。簡単にいうと、研修のPDSです。
- A アナライズ 分析
- D デザイン 設計
- D デベロップ 開発
- I インプリメント 実施
- E エバリュエイト 評価
で、冒頭のADDがPDSのPにあたります。このADDができていないことが多く、特に初めの2つがインストラクショナルデザインを学ぶ大きな理由です。
■分析・設計のポイント
- 学習目標の明確化
- 学習項目の構造化
につきます。
■学習目標の明確化のポイント
3つがあります。
- 目標行動
- 評価条件
- 合格基準
です。
「コミュニケーションができる」だと大きすぎて、達成できたかどうかが分からないので、研修終了時に何がどの程度どうなっていたら目標達成できたかを考えるのが目標の明確化です。
■学習目標の構造化のポイント
学習項目の構造化は、簡単にいうとプロジェクトマネジメントの基礎です。
- タスクの洗い出し(=学習項目の洗い出し)
- 優先順位付け(=系列化)
- ラベリング(=項目「売上」「利益」を学ぶことを例えば「損益計算書」とする)
で行われると考えてよいと思います。
基本的に、「教え込みたい」研修では、この考えは有効です。
体験型研修を扱う当社でも、必ずどこかに教える要素がある研修もあります。
私が開催している「インターンシップの企画」や「企画の作り方」などの研修でも大半はインストラクショナルデザインをベースにしていますし、ゲーム開発をする方々もこれを押さえておくと開発プロジェクトはうまく回るのではないかと思います。
公開日: 2014年7月17日