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研修体系という言葉について

研修に関する仕事を始めてから、結構な頻度で耳にする言葉があります。

個別の研修を考えるよりも先に「体系」を考えたい

というものです。

これは一理あると思う一方、「本当にそれでいいのか」と思うところもあり、今回はそれについて書きます。

「研修体系」とは「研修」の「体系」です。何を当たり前のことを言っているのかと思われるかもしれませんが、頭に何かがつくと別物として捉えられることがあります。

次に、「体系」とは、英語にするとシステム(system)です。システムは、要素と要素とそのつながりで構成されます。つまり、体系を作ることは、要素とそのつながりを作ること。更にいえば、「研修」の「体系」とは、個別の研修とそのつながりであり、研修体系を作ることはそれを検討した結果なのです。

これまで豊富に研修を実施してきた経験のある会社が「個別の研修を考えるよりも先に「体系」を考えたい」と言った場合、「個別の研修はすでにやってきた」ので、現在は「つながり」の方を考えていると推察されます。これはよく分かります。

一方で、理解に苦しむのは、「これまで研修をやってこなかった」もしくは「五月雨で行ってきた」とおっしゃる会社が「個別の研修を考えるよりも先に「体系」を考えたい」という場合です。この場合、「体系」を作る上での「要素」がほぼありません。要素がなければ体系を作りたくても、机上で作るしかありません。

以前、「3年かけて研修体系を考えている。それが終わるまで研修は行わない」という会社があって驚きました。システムは生き物です。要素が少しでも変わればガラリと変わってしまいます。もしかしたら事業が安定的で変わらない前提があったのかもしれませんが、VUCAの時代にはそぐわないように感じます。

動かないでいたら結果は出ず、3年動かなくてもよいという場合、研修には効果がないと言っているのと同じです。3年を取り返すのは簡単なことではありません。

体系といって堅苦しく考えずに、点を点をつなげて作るところから始めてみてもよいのではないでしょうか。


本コラムは2020年3月17日に書いたものです。

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