工場のブルーワーカーの方を対象にした研修を初めて請け負ったのは、2013年のことでした。とある菓子メーカー様での研修です。やや複雑で再委託を重ねた5層下請け構造の研修でした。
その研修でショックを受けた体験を思い出したので、書きたいと思います。
計5回の研修を実施させていただき、2013年から実施順に
- コミュニケーション(7.5時間)
- 整理されたコミュニケーション(2時間)
- コミュニケーション(7.5時間)
- 若手向けホウレンソウ研修(2時間)
- キャリアデザイン研修(8時間)
を3年間で行いました。
まず、①コミュニケーション研修と③コミュニケーション研修は、ライン長クラスを対象とした研修です。①コミュニケーション研修では、一方向でどのように伝えるべきかという点について学習したため、③コミュニケーションは双方向という位置づけとし、20名程度に同じ内容を2度に分け、傾聴や質問について学習をしました。(①③いずれも当社のパートナー講師による講師派遣で、コンテンツも講師のものを使用)思い返せば、傾聴と質問の研修の開発もこれが最初だったように思います。
また、②④は若手を対象として実施をし、②④は短時間で大勢に対して実施しつつも、情報を整理して話す、ホウレンソウを行う際の注意点といった平易な内容を上記と同じ講師で実施しました。これらは当社がコンテンツを持っていたため、当社コンテンツで実施しました。これらは2時間だったのが印象的でした。
また、⑤は節目となる年次である3年目を対象に、キャリアデザインを実施しました。こちらは、当社コンテンツで当社社員による研修でした。
いずれの研修もゲームを使わず、講義+ワーク型の研修でしたが、参加者アンケートは非常によく、私はアンケート結果と講師からのコメントを聞いて安心しておりました。ただ、⑤キャリアデザインで、間に入っていた某保険会社のご担当から、当社の講師に①③⑤の研修についてかなり辛辣なフィードバックが寄せられました。
具体的には、コンテンツおよび講師の話す内容がホワイトカラーのそれであり、ブルーカラーの方々のことを理解していないといったものでした。もちろんアンケートの結果は非常に良い(4段階で7割以上が4をつけている)のに加え、2,1のネガティブ評価もありませんので、外形的には誰が見ても問題はないと判断するアンケートだと思います。なので、単に保険会社のご担当が一言を言いたかっただけという可能性もありますが、クレームは宝の山ですので、真摯に伺う必要があります。
そして、当社のコンテンツは講師が話を膨らますようにして作っており、現業の経験がない当社社員のトークに現場感がなかった(現場感は講師として熟練すると育まれますが、まだそこまでの経験がなかった)ことによることも捨てきれなかったため、徹底的にヒアリングを行いました。
その結果、分かったことは、どれほどベテランの講師であっても、製造現場のリアリティは想像しにくい、つまりホワイトカラーの外部講師が適さないということです。よって、それが分かるのは社員ですから、内製での実施がベターだということでした。また、語彙レベルについても大幅に修正が必要で、研修でよくつかわれる横文字などは、多少本来の意味が変わってしまったとしても伝わるかという観点で置き換えを行うなどの工夫が必要だということも分かりました。最後に、講義型研修+ワークで8時間というのでは、集中を維持できないこと、さらには、8時間で実施したものの、本来的なニーズは超短時間であり、その時点での当社が提供できるものがありませんでした。というのも、研修は1日を想定して開発されており、特にゲームを使った研修が主力だった当社は、その部分を抜き出して実施できるような体制になっていなかったためです。
こうした発見が、その後5年を経て、2018年から始まる短時間・少人数向けゲームの開発、また、短時間で実施できる研修モジュールの開発、そして工場向けソリューションにつながっていったのです。
関連リンク
『企業と人材』企業事例にデンカ株式会社千葉工場様での当社研修の様子が掲載されました。
公開日: 2024年3月25日