「教える」の手前にあるものとは?
部下指導(当社では部下支援と呼んでいます)の研修のご相談を受ける際に、インストラクションスキルやティーチングの話題になることがあります。インストラクションスキルやティーチングはもちろん重要なスキルですが、私が注目しているのはその「手前」にあるものです。
「手前」にあるものとは、“上司と部下という関係よりも一歩手前で、まず、仲間であることをお互いに確認すること”があります。(※仲良しという意味ではありません。)
仲間であることを確認する手段には、例えば、あいさつ、雑談、情報交換といったものがあります。「ストローク」と言われることもあるでしょう。こうしたことができない相手とは基本的に仕事が成立しません。
(当社では、このきっかけづくりとしてクイズ型のアプリを作っています。)
上司側がこうした働きかけをすることは重要ですし、逆に部下側はその大事さがわかっていないこともあり得る(成人したからといって自然にできることではないものは多いです。)ので、新人にはこうしたことを徹底して教えているのではないでしょうか。(コロナ禍でおろそかになっている気はします。)
会話は「怒っていない」ことの意思表示
言語学者のグレゴリー・ベイトソンによると、会話することは、自分が怒っていないことの意思表示だそうです。裏を返すと、会話しないことは、自分は不服であるとか、怒っているのだということを言外に伝えているともいえるのです。
まず、重要なのは会話です。
会話は、マナー研修を受けさせれば身につくようなものではありません。型だけを短期的に教えるのでは不十分で、中期的に折に触れて教えなければならないのです。
このため、上司に求められることは、「仲間になるために必要なお作法の内容」を整理し、それとずれた場合に、随時介入することなのです。
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次回は、本題となるインストラクションとティーチングの違いについて書きたいと思います。
関連リンク
インストラクションとティーチングの違いとは-教える技術(2)-
公開日: 2022年5月22日