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研修のもつ物語性

昨日ダイアログbarというイベントに参加し、小田理一郎さんのストーリーテリングと、ワールドカフェをやってきました。参加する前に書店で、「ワールド・カフェをやろう! 」という書籍を購入したのですが、昔買ったワールドカフェの本よりも分かりやすくて、初めての方にはオススメです。

随分前ですが、「研修は「打ち上げ花火」か?」というエントリを書きました。今回はその続編的な位置づけです。

2007年の頃、「物語力」がマイブームで、平野日出木さんの「「物語力」で人を動かせ!」とか大塚英志さん「ストーリーメーカー 」などの本を読みあさっていたのですが、ようやく自分の頭の中でまとまってきました。

物語は記憶に残る

最近、物語性の有無が、記憶に影響を与えると実感しています。

例えば、学校で教わった「物語文」と「評論文」で記憶に残っている絶対数が多いのはどちらでしょうか。

多くの人は「物語文」と答えると思います。

論文などは、誰が読んでも同じ結論に至るように、解釈の余地がないように書かれています。このため、解釈の仕方は1通りです。理解度に差はあっても、書かれている以上のことは理解されません。そして、徐々に忘れられていく運命にあります。(理解度が低いと、無意味な文字の羅列に近くなっていくので、エビングハウスの忘却曲線通りに忘れられていくのですが、完璧に物事を理解できる人がいたとしたら、忘れることはないのかもしれませんが、私は凡人なので、こう書きます。)

逆に小説や物語などはどうでしょうか。作者が伝えたいものがあったとしても、意図通りに解釈されないことすらあります。また、100人いれば、100通りの解釈があります。これを是とするか否とするかはその人の価値観によるでしょう。

しかし、読んで考えさせられたとか、感情を揺さぶられたという経験は、記憶に刻まれます。つまり、忘れずに脳の引き出しの浅いところにしまわれるのです。このため、何かのはずみで想起されやすくなるのではないかなぁと思います。

物語とビジネスゲームは似ている

この評論文と物語文の違いは、講義型と体験型の違いとかなり類似点があるように思っています。

読み物としてのケースストーリーや弊社が多く扱うようなビジネスゲームは、物語性が色濃い研修だと思います。

これらの研修って、私も数々受講したことがありますが、学習項目は漠然としていました。しかし、印象は強いんですよね。これはなぜかというと、自分なりに解釈し、その解釈を他者と共有し、比べながら磨き上げ、共によりよいものに作り上げたという、成功譚だったからではないかなと思うんです。

整理してみると以下の通りです。

  • 論文

解釈:1つだけ
記憶:すぐ消える
効果:知る

  • 物語

解釈:各人各様
記憶:永く残る
効果:考える・味わう

どうでしょう。実感と合致するでしょうか。

先日、30代の会社員数名に、「新入社員研修で何をやったか覚えているか」と聞きました。この年代は、そもそもにして研修が少なかった年代なので、研修体験は貴重なはずです。しかし、ほとんどの会社員が「覚えていない」と答えました。

もし、ビジネスゲームをうけた新入社員が10年後に同じことを聞かれたら、どう答えるのでしょうか。

「あのとき、●●くんが、ゲームで●●して大爆笑したよね」

なんていうストーリーが、生き続けるととても素敵なことだと思います。

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