新型コロナによるパラダイムシフトで集合研修と研修会社はどう変わるか!? | ビジネスゲーム研修で人材育成を内製化 | カレイドソリューションズ

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COLUMN

新型コロナによるパラダイムシフトで集合研修と研修会社はどう変わるか!?

▼一般的な集合研修が前提としているものとは

当社では、2017年までは集合研修を想定したビジネスを展開してきていました。集合研修には、
・講師がいる
・会場の制約(人数上限や集合の必要性)がある
・決められた日時に行う
などは不可欠ですし、それに加えて、講師の工数が固定ですから、
・ある程度の人数(20名など)で実施する
・ある程度の時間(半日など)で実施する
・1社に対して行う(武者修行型研修や公開講座などを除く)
といったことを暗黙の了解としていました。

これは、多くの企業の考える集合研修の一般的認識と重なるのではないでしょうか。

▼この前提が徐々に壊れてきていた

これに対して、働き方改革や諸々の環境変化が一般的認識を覆す動きとして顕在化してきました。この変化に対応して当社が行ってきた事業が「ずっとも」でした。

「ずっとも」では、
・講師がいなくてもなんとかなる
・会場にとらわれず、各拠点で実施できる
・特定の日に無理に日程を調整しなくても少人数で柔軟に実施できる
・1時間程度の短時間で実施できる
・3-4人で実施できる
といったことを意識して研修開発を行ってきました。
「一般的認識」へのアンチテーゼとして、研修への暗黙の了解を取り払うことに挑戦し、12のツールを開発し、一定の成功を収め、昨年12月で中断いたしました。

▼新型コロナで完全に壊れつつある暗黙の了解

こうした変化が生まれつつある中ではありましたが、新型コロナの影響で「集合できない」という新パラダイムが生まれました。主な解決策はインターネットを用いるものになりますが、このパラダイムシフトが研修を一気に変えようとしています。こうした新しい変化にも私たちは適応していかなければなりません。

これまでのパラダイムで物事をつい考えてしまうのが人間です。「ずっとも」の中断は、パラダイムシフトに対して人の認識がなかなか変わらないことを痛感させられたのですが、今まさに黒船によってパラダイムが変わらんとしている中で、なかなか変わらない認識がまだまだあるようです。

いくつか、パラダイムが変わったことによって、考えを切り替えなければならないと感じる点をかいておきます。

★研修会場は必要なくなり自宅での参加も増える

オフラインの研修は「会場を抑えなければいけない」「会場費がかかる」といった理由で実施ができないことがありました。しかし、この前提はなくなりました。私たちもオンラインになったことで企画から実行までのスピードが急激に早くなっています。

会場を確保してもテレワークの方が同時参加する場面も以前からでてきていました。問いとして「本当に会場でやる必要があるか」が加わり、会場費や交通宿泊費などの生産につながらないコストを研修の真水部分に回せるようになるかもしれません。

★研修参加人数の桁が変わる

会場のキャパシティは、研修参加人数の下限と上限を決めてしまいます。会場のキャパシティ以上に人数を詰め込むことはできないですし、逆にガラガラになるのも非効率です。このために、これまでは「適切な人数ボリューム」がある研修が優先的に実施されていたのではないでしょうか。これが桁が1ケタ増える、もしくは1ケタ減ることで変わってきます。

まず、一桁減る研修でも機動的に実施できるようになり、アダプティブラーニングの実現可能性が高まってきます。また、一桁増える研修では、会場がある場合、講師との距離が遠くなると視力の限界などもあり、見えにくかったりします。学校教育では30-40人クラスは避けられますが、同じような理由でクラスを分ける必要がありました。オンラインにはこれがありません。これに伴って、1000人で行う研修といったものでも、目の前でライブ感を持って実施できるようになります。

この変化は研修会社の料金体系にも影響を及ぼすでしょう。こうなると1日●円という講師料を設定し、複数日程で行うことで収益を得るビジネスをしている研修会社は、1クラス20名×50開催で講師料を50日分とれていたものが1日になってしまいますから、そもそも「講師料」という概念を見直す必要に迫られるのではないかと思います。最終的に行き着くところは、「コンテンツ料」になるのだと思います。

★長時間の集中が難しいことから短時間×複数回の研修に

オンラインでは、長時間集中し続けることが難しいという俗説があります。検証できていないのですが、実感としては、オンラインで長時間集中するのは、よほど面白くないと厳しいと感じます。(逆をいえば、面白ければ何時間でも大丈夫です。)会場が必要ないことと併せて考えると、集中力が持続する短時間で日にちを分ける(例えば、3時間×3回)選択肢が増えそうです。

研修会社の立場としては、前項と同様に1日●円という講師料の設定は見直しを迫られそうです。同じ内容を3日に分けたら金額3倍というのは顧客に受け入れられそうにありません。また、分けた中には講師がいらない回もでてくるかもしれません。これはそもそも1日だったから講師が中座できないという提供側の都合によるものでしたが、分割することで必要な部分にのみ講師をつければよいという発想に変わってくると思います。

また、オンラインで講義をし、集合部分はオフラインで行うブレンディッドラーニングもアフターコロナでは増加すると感じられます。

★リアルタイムでなくても良くなる

知識付与などの定型的な内容は、リアルタイムである必要がありません。その分野に詳しいプロの講義を記録しておいて後から見るタイムシフト形式も一般的になってくると思います。私が大学受験をする頃から、こうした記録された映像を見る学習手法はありました。しかし、企業研修には、あまり馴染んでいなかった。これが抵抗感なく受け入れられるようになりそうです。私自身は、下手な先生のライブよりも上手い先生のタイムシフトの方が価値が高いと感じます。その点で、良いコンテンツを生産できる講師の価値がより高まっていくでしょう。

★インハウスの縛りすらなくなる?

内容が定型的なのであれば、あえて自社独自の内容を教える必要もなくなります。こうなると、時間の固定されたウェビナーに、数十の会社の社員が同時に参加するといったことも起こります。このような形である程度の母集団が形成されれば、上述の「適切な人数ボリューム」が「インハウス」では確保できなかったために開催されなかった比較的ニーズの少ない教育を学習する機会が増えてきます。

▼研修事業者として

研修はまさに変化を求められています。多くの研修は、講義+ワーク+振り返りで構成されています。加えて、オブザーブをしたいという希望があることも多いです。そこで、「講義・ワーク・振り返り・オブザーブ」の4点から今後の研修について考えたいと思います。

まず、研修に対する人材開発担当者のオブザーブについてです。研修の形態が変わることでこの必要性が疑われ始めています。そもそも、オブザーブは研修中の緊急事態への対応や参加者のアセスメント、講師の様子や研修内容の確認というような機能を持っていました。オンラインでは、その場にいないので緊急事態へ対応できる場合が少ないですし、講師の様子は動画を事前にチェックできます。研修の無形財という特徴による当たるも八卦という博打っぽさはなくなってくるのではないでしょうか。そうした世の中では研修のオブザーブが本当に必要なのかは検討する余地がありそうです。

次に、ワークです。これまでは「適切な人数ボリューム」で研修を実施する必要があったため、3-5人程度ごとの複数のテーブルに分けてワークを行うのが通例でした。ところが、オンライン化によって研修の参加者数の縛りがなくなったため、必ずしも複数テーブルである必要はなくなり、1テーブルのみで行う、または1テーブルのみの研修を複数回開催することができるようになります。

そこで、1テーブルのみに対してオンライン研修を行う場合、講師が1テーブルにつくことになるため、参加者1人当たりの費用が割高になってしまいます。そこで、講義と振り返りの両方、または講義のみを動画で代替する可能性が考えられます。講義のみを動画にするというのは、講師が振り返りの場面のみリアルタイムでおこなう形態で、こちらも十分に実現可能なのではと思っています。

これまでの研修は変化を求められています。わたしたち研修事業者も変化が求められています。わたしたちの「ずっとも」という一日の長を活かしつつ、一歩前に進みたいと思っています。

—本コラムは4月末に書いたものです。

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